鈴木愛奈、小林愛香、諏訪ななか……新たな進路へと舵を切ったAqoursメンバーのソロデビュー作に注目
最後に、4月15日に日本コロムビアより、フルアルバム『So Sweet Dolce』を発売する諏訪ななか。彼女は鈴木や小林と異なり、シンガーに準ずる経験はなく、作品での人気が音楽活動に結び付いた、最もスタンダードな声優アーティストの道筋を歩んでいる。
また、諏訪のアーティスト活動は日本コロムビアに加えてユニバーサル ミュージックとの共同制作体制に。ユニバーサル ミュージックは、2019年3月に惜しくもレーベル事業を休止したZERO-Aの親元であり、これまでにμ’sで南ことり役を務める内田彩のプロデュースも行なってきた。内田といえば、音楽事務所・SUPA LOVEのhisakuniらとのタッグで、声優アーティスト界でも随一と評せるプログレッシブな楽曲を立て続けに発表している存在だ。
そんな内田が築き上げてきた功績は、諏訪の作品に間接的ながらも少なからず良い影響を与えているのではないだろうか。実際にアルバムリード曲「So Sweet」は同じくSUPA LOVEの松坂康司が作編曲を担当しており、松坂得意のエレクトロサウンドをベースに、軽やかなギターカッティングなどが心地よい軽快な一曲に仕上がっている。楽曲全体に広がるキュートな雰囲気は、サンリオ好きで知られる諏訪のメルヘンな世界観とも親和性が高く、彼女の人柄を上手く掴んできただけに、そのほかの収録楽曲の出来栄えが早くも気になるところだ。
Aqoursとして培った歌の経験が大いに反映されたのはもちろん、それぞれのレーベルを絡めることで、作品に刻まれた意外性や思わぬ“繋がり”を実感できるAqoursメンバーのソロ活動作。また新たな進路へと舵を切った彼女たちが、声優アーティストとしてもシーンのトップランナーになる未来は、そう遠くはないのかもしれない。