テイラー・スウィフトはいかにして変化と成長を遂げてきたのか? ドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』を観て

 テイラー・スウィフトが1月31日より、ドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』をNetflixにて公開した。アメリカのフィメールアーティストにとって、生い立ちや私生活、音楽活動の舞台裏を織り交ぜたドキュメンタリーフィルムを制作するのは重要なステップだ。先駆者はマドンナの『Truth or Dare(邦題:イン・ベッド・ウィズ・マドンナ/1991年)』。舞台裏を見せる映像は男性アーティストも作るが、彼らはもう少し客観的というか、人任せな印象がある。しかし、普通の人がInstagramなどで無意識に「見て欲しい自分/わかってほしい自分」を強調するように、歌姫=ディーヴァたちは同じ動機をもって、より作為的に、プロの監督を立てた映像を1時間半くらいに収めている。ビヨンセの『Life Is But A Dream』然り、レディー・ガガ『Five Foot Two』然り。

Miss Americana | Official Trailer

 『ミス・アメリカーナ』の監督は、エミー賞を受賞しているドキュメンタリーフィルム作家のラナ・ウィルソン。日本で自殺を食い止めようとする僧侶を追った『いのちの深呼吸』も作っている気鋭の作家だ。このラナとテイラーのケミストリーが、とてもいい。子どもの頃の映像や、家でほぼすっぴんのテイラーなど、熱心なファンが見たい映像をきちんと入れつつ、被写体であるテイラーと適度な距離を保つ。自然体で曲作りを見せた直後に、まばゆいライトを浴びてスタジアムでその歌詞を歌い上げるシーンは、お約束の撮り方とわかっていてもテンションが上がる。また、MVの撮影の舞台裏などからは、テイラーがどれくらいクリエイティブ面に関わっているかが伝わって、彼女の音楽をそれほど追っていない人でも興味深いだろう。『ミス・アメリカーナ』は、ストリーミング時代にどんどん増えていきそうなアーティストのドキュメンタリー作品の中でも、観るべき出来になっているのだ。

 さて、この記事の主題は「社会情勢の中でテイラーはどのように変化して、世の中に向けてどんなアクションを起こしてきたのか。その結果として、今もテイラーが若者のアイコンであり続ける理由は何なのか?」である。

 ……そう、けっこう大きなお題なの。前半の答えを先に書くと、テイラー・スウィフトは社会情勢の中で変化してきたというより、彼女の身に起きた出来事の結果として変化し、成長してきた女性であり、『ミス・アメリカーナ』はその記録だ。問題は、ハイティーンで恐ろしいほどの勢いでトップスターに登り詰めたがために、テイラー個人の体験は、社会情勢のひとつとして組み込まれていることだ。彼女自身、彼女の音楽自体が、社会状況の一面なのである。

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