テイラー・スウィフト、カニエ&キム夫妻とのバトルの行方は? 衝撃の新曲リリースから読む

 現地時間8月25日、テイラー・スウィフトが新曲「Look What You Made Me Do」を発表した。同楽曲は11月10日にリリース予定のアルバム『Reputation』の先行曲で、Spotify、YouTubeで過去最高の再生回数を記録。(参考:テイラー・スウィフト新曲が再生回数が過去最高記録(日刊スポーツ))これまでのポップなイメージとは異なるサウンドや過激な歌詞に加え、過去のテイラーが登場するMVも含めて話題となっている。

テイラー・スウィフト公式サイト

 新曲の発表前にSNSの投稿を全て削除し、現地時間8月21日には蛇が映った意味深なムービーを公開したテイラー。彼女の一連の行動の理由や新曲の意図について、HIPHOPやR&Bを中心にアメリカのポップミュージック・シーンに詳しい、音楽ライターの渡辺志保氏に訊いた。渡辺氏は当初アップされた蛇の動画を見てハッキングを疑ったと明かしつつ、“蛇”とテイラーが密接な関係にあることを語った。

「去年カニエ・ウェストが出したアルバム『The Life of Pablo』収録曲「Famous」に<I feel like me and Taylor might still have sex(俺はテイラーとセックスしてる)><I made that bitch famous(俺とヤったからあの女は有名になったんだぜ)>という歌詞があって話題になりました。そのあとに発表されたMVもテイラーやドナルド・トランプ、クリス・ブラウンの裸の蝋人形が一つのベッドで寝ている、という過激な内容で。当初テイラーのファンは擁護していたんですが、カニエの妻、キム・カーダシアンが2人の電話の模様を録画したビデオをスナップチャットにあげたことで事態は一変。実はカニエは事前に電話でこういう内容のリリックを書くことを、テイラーに知らせていて、テイラーも「面白いからいいんじゃない」と返していたのに、曲が出たら激昂してしまったことが判明したんです。その時キムがツイートで使った絵文字が“蛇”でした。蛇はコソコソして誠実じゃない、ずるいところがあるようなイメージですよね。だからここでテイラーが蛇を使った動画をアップするというのは、すごい自虐というか、その時の屈辱を逆手にとっているという印象です」

 続けて渡辺氏は、今回のテイラーの新曲のサウンドと歌詞の変化についてもこう語った。

「前作『1989』のリードトラック「Shake It Off」は失恋の歌でネガティブな要素はありますが、そんなの忘れちゃおう! というような歌詞で、サウンドも正統派ポップスでした。一方今回の「Look What You Made Me Do」はミニマルでダークな雰囲気のトラックです。フック、つまりサビの部分も<Look What You Made Me Do>というタイトルを繰り返していて、昔からのファンは戸惑ったのではないでしょうか。中でもファンにとって衝撃的だったのは、最後の<"I'm sorry, the old Taylor can't come to the phone right now."(“昔のテイラーは今電話に出ることができません”)><"Why?"(“なんで?”)>と聞いたら<"Oh, 'cause she's dead!"(“もう彼女は死んだからだよ”)>という箇所。彼女が昔のツイートやInstagramのポストを全部消したことと合致するところですが、昔の自分は捨てて“新生テイラー・スウィフト”になった、というのをここまでドラスティックに言わなきゃいけないのか、とパワーと凄みを感じました。テイラーはもともとカントリーシンガーということもあり、“アメリカの良心”というか、全国民の期待を背負った優等生のような印象です。今回の歌詞は昔の自分に対して言っているのかもしれませんが、長らく確執のあるカニエ・キム夫妻やケイティ・ペリーに向けた歌詞とも言われています」

 ケイティとテイラーはバックダンサーを巡る争いから長期にわたるビーフを展開しており、ケイティもテイラーへのディスとも取れる「Swish Swish」という楽曲を発表している。今回のテイラーの変化にはどんな理由があるのか。

「ジャケット写真も可愛らしいイメージとは一転して、着ているカットソーもパンクな要素があったり、背景にあしらった文字のフォントもゴシック調でクールなイメージをとことん表現しています。カニエやケイティとのこともそうですが、恋人だったカルヴィン・ハリスと別れるなど、2016年はネガティブな報道も多くて、女王様気取りだと批判されたことが彼女の変化に影響しているのかもしれません」

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