SUPER JUNIORが築いた“我道”のスタイル 15年もの間存在感を放ち続ける理由を考察

 一口に15年と言っても、その間SUPER JUNIORほどさまざまなアクシデントがあったグループも珍しいだろう。メンバーの事件事故、熱愛、キボムとカンインの脱退や中国人メンバー・ハンギョンの訴訟はもちろん、キュヒョンのように生死の境をさまようような事故から生還したメンバーも、ヒチョルのように現在も事故の後遺症が残りパフォーマンス活動が年々難しくなってきているメンバーもいる。SUPER JUNIORが固定メンバーになるようにSMの株を買ってまで運動をしたファンドム・E.L.Fとの絆は深いが、逆に追加メンバーだったヘンリーとチョウミへのファンドムによるボイコット活動や、結婚を機にやはりファンからのボイコット活動によりSUPER JUNIORのメンバーとしての活動はできなくなっているソンミンの存在など、韓国の男子アイドルグループが遭遇しうるほとんどのトラブルや闇の部分は経験済みと言ってもいいだろう。13人いたメンバーのうち、現在もグループ活動をしているのは9人(パフォーマンス活動やコンサート時はヒチョル除く8人)になったが、それでもグループとして続いているのは、彼らが対面したトラブルに対し、おおむね率直に対峙してきたからではないだろうか。

 SUPER JUNIORはデビュー当時から韓国アイドルで一般的に重視される「神秘性」や「クリーンさ」よりも、親しみやすさや率直さをそのまま出してきたグループだ。他グループではなかなか難しい辞めたメンバーの名前を公で出したり、今でも交流があることを明らかにしたりもする。困った行動をするファンをSNSで諭したり、メンバーへのボイコットに対してコンサートで直接話をしたりもしてきた。これらの行動は一時的に反発やバッシングの種にはなるが、長い目で見れば率直なやり取りの向こうにはアイドルとファンダムの間に過剰なイメージ化や依存的な関係性が芽生えにくく、結果的に成熟した古参ファンドムが残りやすいため、新規のファンも入りやすいのではないだろうか。SUPER JUNIORが色々ありながらも長く支持されて活動を続けられてきた背景には、兵役中もメンバーソロやユニットで活動出来たたスキルやシステム面での長所もあったが、結局は常にこのようなファンとの関係性が中心にあったからだろう。

 SUPER JUNIORの歩みはK-POP界の「王道」ではなかったかもしれないが、「我道」と呼ぶべきもので、それが唯一無二のグループとして15年目の今でも現役アイドルたちの中で存在感を失わなずにいられる理由なのかもしれない。

SUPER JUNIOR 'I Think I (Japanese Ver.)' MV

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata

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