SUPER JUNIORが築いた“我道”のスタイル 15年もの間存在感を放ち続ける理由を考察
さらに特徴的なのが、多岐にわたるメンバーたちの個人活動だ。SUPER JUNIORのメンバーはデビュー当初から現在までソロ歌手・俳優・バラエティ・MC・ミュージカルなどそれぞれの得意分野で活躍してきているが、2000年代当初はアイドルグループのメンバーがグループ活動と並行して個人で歌手以外の活動を活発にすることは珍しかった。SUPER JUNIORのメンバーがそれぞれの分野での成功例となることで、後輩達に選択肢を広げてきた部分もあるだろう。シウォンやキュヒョンのように特定の海外で人気のあるメンバーが海外でソロ活動をしてきた経験もあり、タイで単独広告を持つほど人気があるキュヒョンはソロ曲「Blah Blah」のタイ語バージョンもリリースしている。
また、いわゆる「自主制作アイドル」と積極的に名乗ってはいないが、実際の制作部分にメンバー関わっている部分も多い。前述の大ヒット曲「SORRY, SORRY」にしても、振り付けはジャスティン・ティンバーレイクやビヨンセなどの振付を手がけていたニック・バスによるものだが、YouTubeの彼のダンス動画を見たドンへとウニョクが直接振付師として指名したという。メンバーのドンへはデビュー以降に作曲活動を始めたが、現在ではアルバムのメイン曲に携わるまでになっている。当初ファンへのプレゼント的な動画を撮影していたシンドンは、現在ではコンサートVTRの撮影編集を行うまでになっており、『SUPER SHOW 8』の映像や演出を一部手掛けたウニョクは昨年中国の大人気アイドルグループ・TF BOYSのコンサート演出を手掛けるなど、2015年以降は<Label SJ>という独自レーベルで活動するようになったことも関係しているだろうが、「自作」のイメージがあまりないと思われがちなSMエンタの中ではDIY精神が際立っている。
このように、今では当たり前になっているアイドルの活動スタイルでも、SUPER JUNIORをきっかけに定着していったものは少なくはない。新しいことを始める時は批判もつきものではあるが、批判されたり懐疑の目で見られてもなお、道なき道を歩んできたのがSUPER JUNIORと言えるだろう。楽曲のスタイル的にも「SORRY, SORRY」から「BONAMANA」、「Mr.Simple」など中毒性の高い反復フレーズのある流行を取り入れつつもベースにはファンクやコンテンポラリーR&Bがあったが、2015年の「Devil」以降は“SUPER JUNIOR Funk”とも呼ばれるK-POPでは独自の路線を歩み、さらに2018年には「Lo Siento」でレスリー・グレースやPlay-N-Skillzと組んで本格的なラテンポップスに挑戦している。BTSのブレイクによりK-POP界全体がアメリカを見ていた中で、ラテン語圏に目を向けた活動は独自路線だったが、遊び心や自由闊達なマインドが不可欠なラテンミュージック自体、何より「遊ぶ」ことが得意であろうSUPER JUNIORの本質にも合っていた。そして2020年にリリースした「2YA2YAO!」は今をときめくZICO(Block B)に楽曲を依頼し、今までのSUPER JUNIORにはなかったヒップホップテイストを取り入れながらも、SUPER JUNIORらしいファンクテイストや重厚なEDM使いも感じられる一曲に仕上がった。現在進行形で新しいことに挑戦し続けているバリバリ現役のアイドルグループなのだ。