Juice=Juiceが「ひとそれ」で首位獲得 BEYOOOOONDSも躍進見せた『2019年度ハロプロ楽曲大賞』

その他

 正規のハロプログループ以外にも、OGやアップフロント所属グループなどの楽曲がノミネートされているのがハロプロ楽曲大賞の特徴。その中で最高位だったのは、PINK CRES.「トウキョウ・コンフュージョン」の37位。クラブミュージックの様々な要素を再構成したかのような怪曲/快曲で、堀内孝雄と高山厳がゲスト出演したMVも話題となった。

 道重さゆみはハロプロ現役を退いたにもかかわらず、ベスト盤含めアルバムを1年に3作リリースするなど活発な活動を見せた。本人最高位は大森靖子作詞による「OK!生きまくっちゃえ」の39位。アップアップガールズ(2)のここ最近のシングルはつんく♂の作詞作曲だが、そのうちのひとつ「Be lonely together」が42位にランクイン。ちなみに同曲はアイドル楽曲大賞でも17位に入っていた。元℃-uteの鈴木愛理は、シングル「Escape」が50位に顔を見せた。

PINK CRES.『トウキョウ・コンフュージョン』(PINK CRES.[Tokyo Confusion])(MV)
道重さゆみ『OK!生きまくっちゃえ』(MV)
Be lonely together アップアップガールズ(2) MUSIC VIDEO
鈴木愛理『Escape』(Airi Suzuki [Escape])(Promotion Edit)

MV部門

 楽曲ではなく映像基準で投票されるMV部門。こちらはBEYOOOOONDS「眼鏡の男の子」「ニッポンノD・N・A!」が1位・2位のワンツーフィニッシュ。さらに4位に「Go Waist」、6位には「アツイ!」と、トップ10内で4曲を占める強さを見せた。どのMVもコンセプトに沿って細部まで作り込まれた映像で、この順位も納得だろう。「Go Waist」はテレビのエクササイズ番組や通販番組を模した作りが楽しく、「アツイ!」は過去の映画や音楽MVへのオマージュが満載で、元ネタ探しが捗る。

 8位のアンジュルム「恋はアッチャアッチャ」はメンバーの様々なシチュエーションでの扮装が楽しめるし、10位のJuice=Juice「25歳永遠説」は、卒業メンバーである宮崎由加の出身地の石川県金沢市でロケが行われ、ストーリー性もある凝った作りが評価されたようだ。

BEYOOOOONDS『Go Waist』(BEYOOOOONDS [Go Waist])(Promotion Edit)
BEYOOOOONDS『アツイ!』(BEYOOOOONDS [HOT!])(MV)
アンジュルム『恋はアッチャアッチャ』(ANGERME [Love is Accha Accha])(Promotion Edit)
Juice=Juice『25歳永遠説』(Juice=Juice [“25 year old forever” theory])(Promotion Edit)

推しメン部門

 楽曲大賞の参加者による一推しメンバーを集計した推しメン部門。これがそのまま実人気ランキングに重なるとはいえないが、ひとつの指標ではある。ここ数年はモーニング娘。佐藤優樹の1位が続いていたが、今回も1位を獲得。これで5年連続となる。

 6位→4位と順位を伸ばしてきたモーニング娘。加賀楓だが、今回はついに2位にまでのぼり詰めた。他は6位にアンジュルムのリーダー竹内朱莉、10位にJuice=Juiceのリーダー金澤朋子がトップ10内に初ランクインしたのが目立つ。

 以上、2019年度のハロプロ楽曲大賞の結果を振り返ってきた。前回2018年度の記事では、傾向として「つんく♂以外の楽曲提供者の躍進、それも若手女性作家の台頭」というポイントを挙げたのだが、今回も1位が山崎あおいの作詞作曲曲、他にも児玉雨子の作詞曲が多数ランクインと、その傾向は引き続いていると感じる。

 グループという角度から見れば、やはり2019年度はBEYOOOOONDSが大活躍を見せた年といっていいだろう。もっとも、ハロプログループのデビュー1年目は、どのグループも楽曲制作やプロモーションなどに力が入っているものだというのは、過去のハロプロ史を鑑みても明らかだ。そして2年目以降には、力を入れていないというわけではないのだろうが、相対的に見て失速した感が醸し出されてしまうという傾向も、どうしても出てきてしまうものだと思う。ハロプロ楽曲大賞では、1年ごとの順位という具体的な数値によって、各年でのグループの明暗がわりとくっきり浮かび上がってしまうところがある。BEYOOOOONDSも同じ轍を踏むのか、それとも良い意味で裏切ってくれるのか、要注目したい。

 それでは今年末の「ハロプロ楽曲大賞'20」にて、皆さんの投票をお待ちしています。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter

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