Juice=Juiceが「ひとそれ」で首位獲得 BEYOOOOONDSも躍進見せた『2019年度ハロプロ楽曲大賞』
ハロプロを愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが『ハロプロ楽曲大賞』。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位を付けてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も『第18回ハロプロ楽曲大賞'19』と銘打って開催され、3585人が投票参加して大きな盛り上がりを見せた。(総順位などの結果は公式サイトをご覧ください)
リアルサウンドでは毎回順位に関する分析記事を寄稿しているが、今回もまた2019年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。(以下の論考は、ランキングとあわせてお読みください)
楽曲部門1位:Juice=Juice「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」
2019年度の第1位に輝いた楽曲は、Juice=Juice「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」。少し長めの曲名が示しているように、女性の孤独感をテーマとした歌詞が、オーソドックスな歌謡ロックサウンドで歌われる一曲となっている。シンプルだが普遍的なメッセージ性を伴った楽曲を、ハロプログループの中でも随一の歌唱力を誇るJuice=Juiceが歌うことで、多くのリスナーの共感を呼んだ形だ。
作詞作曲はシンガーソングライターの山崎あおい。山崎は前回のハロプロ楽曲大賞でも、作詞作曲を手がけたアンジュルム「Uraha=Lover」「泣けないぜ…共感詐欺」の2曲がそれぞれ10位・18位と高評価を得ており、今回は満を持しての1位獲得となった。
6月発売の本曲は、日本レコード協会により8月度のゴールドディスクに認定されたり、MVのYouTubeでの再生回数が早々に100万回を突破するなど好調だった。それを受けて、発売からしばらく経った後にリリースイベントが追加開催されたり、新メンバーの工藤由愛と松永里愛を加えた8人での新録音バージョンのシングルCDが10月にリリースされるなど事務所側もアクションを起こし、ロングランヒットへ結びついた。
本曲の評価については「ハロプロの枠を超えて、外の層へも届いた」と結論づけられそうだが、もちろんそれもありつつ、従来のハロプロファンへもちゃんと響いたのでは、と筆者は考えている。前述したように、このシングル以降Juice=Juiceは新しいリリースをまだ行っていないので、この曲が常に最新曲という状態だった。それもあり、テレビ番組『うたコン』(NHK総合)や『ミュージックフェア』(フジテレビ系)への出演、また連続ドラマ『歪んだ波紋』(NHK総合)での本人役出演などの機会では、常に本曲が持ち歌として披露されていた。さらに12月に開催されたJuice=Juice初の国立代々木競技場 第一体育館ワンマン公演においては、本編1曲目では宮本佳林歌い出しでのノーマルバージョン、アンコール1曲目では段原瑠々が歌い出しの新録音バージョンを歌唱するという演出もあった。このような数々の名場面は、ファンの印象にも鮮烈に残っていることだろう。
ロングランヒットとなった「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」だが、曲名の略称はメンバー発案により「ひとそれ」と呼ばれている。ちなみにハロプロ楽曲大賞と同時開催されたアイドル楽曲大賞では、インディーズ/地方アイドル楽曲部門の第1位に桜エビ~ず(現ukka)「それは月曜日の9時のように」が選ばれている。こちらの略称は「それ9」なので、2019年は「ひとそれ」と「それ9」が1位に輝いた年として今後記憶されていくことになる。
楽曲部門2~3位:BEYOOOOONDS「ニッポンノD・N・A!」「眼鏡の男の子」
2019年はハロプロ新グループのBEYOOOOONDSが躍進した年でもあった。そのメジャーデビュー作となるトリプルA面シングルの内の2曲が、それぞれ2位・3位を獲得した。
3位の「眼鏡の男の子」は、グループ結成後の初オリジナル曲として2018年夏からライブ披露されていた楽曲。曲中に寸劇パートが採り入れられており、オリジナル曲第2弾「文化祭実行委員長の恋」も同趣向だったことから、BEYOOOOONDSのカラーを決定づけた一曲といえる。寸劇パートを導入した楽曲としては、古くはモーニング娘。「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」、近年ではカントリー・ガールズ「わかっているのにごめんね」などがあったが、それらとはまた異なる形で、楽曲内にてひとつのストーリーを表現するというスタイルが新鮮だった。
2位「ニッポンノD・N・A!」は、曲中での「D・N・A!」という掛け声からもわかるように、2018年に大ヒットしたDA PUMP「U.S.A.」へのオマージュとなっている。だが曲調は1990年代に人気を博した小室哲哉プロデュース楽曲を彷彿とさせるダンスポップサウンドであり、さらに曲中ではテレビ番組『学校へ行こう!』(TBS系)の名物コーナー「未成年の主張」のパロディ的なパートもあるなど、数々のフックが仕込まれている。BEYOOOOONDSの楽曲の中でも、特にわかりやすく盛り上がることができるノリの良さが人気を集めた要因だろう。