草なぎ剛×ユースケ・サンタマリア『なぎスケ!』が届ける“大人の青春” 二人のゆるさが窮屈な世の中の救いに?
草なぎ剛とユースケ・サンタマリアのコンビが、帰ってきた。1998年から2018年まで約20年もの間、深夜バラエティ『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)で名コンビぶりを見せてきた2人。今度は地上波テレビから、インターネット番組へ。タイトルを『なぎスケ!』(Amazonプライム・ビデオ)と改めて、12月19日にスタートした。初回はエピソード5まで一気に配信。次回以降は毎週木曜12時に最新エピソードが更新されていくという。
早速見てみると、ユースケ・サンタマリアの夢であるシガーBARを実現させたという設定を、草なぎがニコニコしながら崩していく。「久しぶり」という流れも「スーパーで会ってるし(笑)」とぶった切る。また、“大人の趣味を探す“という番組テーマにも関わらず、「23区を出るロケはしたくない」「自腹払う企画は嫌だ」などと気づけば、やりたくないものリストが羅列してしまう始末だ。
さらには、『「ぷっ」すま』をスタートしたころは、20代だった2人も今や40代後半ということで、“大人っぽくカッコいい番組のテーマソングを“と想定していたところ、〈なななな なななな なぎスケだ!〉と「何これ?」な面白ソングになって、身をよじらせ大爆笑。スタッフが設定を作れば崩し、気合を入れればグダグダに。なのに、見終わったときには期待ハズレなんて思わせないのが、“なぎスケ“コンビの魅力だ。
なぜ、この空気感が多くの人を魅了するのだろうか。ユースケ・サンタマリアの女性好きなキャラクターは、今のご時世「セクハラだ」と言われかねないところもあるし、草なぎのゲストの名前を間違えてしまうところなど「失礼だ」と怒られてしまいそうなところもある。それでも、この2人の番組が成り立っているのは、2人が最初に「期待しないで」「面白くはない」などと、あらかじめ自分たちの「ゆるさ」を強調しているからではないか。
今の時代、私たちは期待をしすぎているのかもしれない。面白くて当たり前、だからつまらないと叩かれる。失敗しなくて当たり前、だからちょっとのミスも許されない。便利なのが当たり前、だから少しの不具合も我慢できない。当たり前のレベルが上がりすぎて、その期待が満たされないときに、不満がより大きく感じる。そんな窮屈な世の中にいつの間にかなっているのかもしれない。