嵐、「A-RA-SHI:Reborn」の革新的アプローチ 根底に感じるアイドルとしての確かな誇り
12月20日に、嵐が配信シングル「A-RA-SHI:Reborn」をリリースした。デビュー21年目への突入を期に開始した新プロジェクト“Reborn”の第一弾としてリリースされたこの楽曲は、20年前にリリースされたデビュー曲である「A・RA・SHI」を“Reborn”=リプロダクションしたもの。
今年、YouTubeチャンネル開設や全シングル楽曲ストリーミング配信開始、配信シングルのリリースなど新たな話題を数々と生み出し続けてきた嵐。さらに大晦日の『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)では米津玄師作詞作曲によるNHK2020公式ソング「カイト」を初披露することも発表されている。ファンにとっては嬉しい悲鳴が止まらなかった1年の締めくくりにリリースされた同楽曲は、原曲「A・RA・SHI」と歌メロはほぼ同じでありながら全く違った趣を感じさせる楽曲へと生まれ変わっていた。
ファンクに寄せた原曲のイントロとは異なり、「A-RA-SHI:Reborn」ではビルドアップやオートチューンなどを駆使。全体的にストイックな仕上がりで、洗練された印象を受ける。また、アウトロのピアノ、櫻井翔のラップパート(リリックは、櫻井翔が新しく書き下ろしている)のバックで流れるギターサウンド、楽曲全体に行き渡ったメリハリのある展開は、原曲の魅力をそのままにアップデートしているようにも感じる。
原曲ではまだ少なかった各メンバーのソロ回しも増え、歌詞もほぼ英語詞に変更。これには世界を視野に入れ、より幅広いリスナー層へリーチしようと試みている近年の嵐らしさが表れているようだ。
歌詞に関してもただ英訳しただけではない点がまたニクい。先述のように櫻井が新たにリリックを書き下ろしていることに加え、サビの印象的な〈for dream〉が〈My dream〉に変わっているのが象徴的だ。20年の時を経ることで自分たちよりも少し先の場所にあった「夢」を手に入れ、「僕達の夢」と胸を張れるようになったことを表しているようだ。ファンならだれもがグッときてしまうフレーズだろう。
原曲の思いを引き継ぎながら、“現在の嵐”の顔を見事に引き出している「A-RA-SHI:Reborn」。ジャニーズグループとしては前代未聞のリプロダクション企画だが、これはただ単純に過去の楽曲をブラッシュアップ・再構築してリリースするという結成記念の“お祝い企画”ではないように思える。