back number、ワンオク、ヒゲダン……2019年チャートをバンド作品から振り返る “やりたいこと”と“届けること”の両立が鍵に

 惜しくもトップ10から外れてしまったサカナクション『834.194』(9.5万枚)とWANIMA『COMINNATCHA!!』(8.3万枚)。うーん、両者、もうちょっと行くと思っていたのに。待たせすぎたサカナクションと、スタートダッシュで一気に売れすぎたWANIMA。今までの求心力に若干ストップがかかりました。山口一郎もKENTAも記名性の強いソングライターですし、普通のポップスでは得られないインパクトや中毒性こそが特徴(サカナクション「忘れられないの」MVを見た日の驚きたるや!)。自分たちバンドの役割やファンへの影響力を考えるあまり、少し力が入りすぎたのかな、という印象を受けます。

サカナクション / 忘れられないの
WANIMA 2ndアルバム「COMINATCHA!!」Trailer

 あるいは、一度国民的な知名度を手にすると、多くのバンドは「やりたいこと」と「届けること」の狭間で一度深く考え込んでしまうのでしょう。追い風に乗ってガムシャラに全力疾走できるのは3万〜5万枚くらいのセールスのときで、10万枚を突破するくらいブレイクすると、そのあとは次なる葛藤が生まれる。そして、その壁を乗り越えたタフなバンドだけが、毎回20万枚超えのスタジアムバンドになれる、ということなのかもしれません。

 今のところ際立ってイケイケなのはメジャー1stアルバム『Sympa』が上半期で5.2万枚だったKing Gnu。彼らの新作は来年1月に発売されます。次の台風の目はここでしょう。きっと。

King Gnu - 白日

<参照>
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■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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