初登場1位WANIMA、2位再浮上ヒゲダン……両者の躍進から実感する“チャートの定説”の変化

参考:2019年11月4日付週間アルバムランキング(2019年10月21日~10月27日)

Official髭男dism『Traveler』(通常盤)

 2週間前に当連載で取り上げられたOfficial髭男dism、その後の話から始めましょう。『Traveler』は初週8.5万枚、次週は2.8万枚、今週は1.8万枚で2位に再浮上するなど、すでに累計13万枚セールスを突破しています。すっかり巷に浸透した「ヒゲダン」の愛称が、いよいよ“今売れているJ-POP”の枠に入ってきた。そんな気配を感じますね。

 “今売れているJ-POP”は、当然毎週のチャートごとに主役が入れ替わります。ただ、ミリオンヒットがほぼ生まれない現在では、CDに思い入れのある世代をファンベースに持つアーティスト、つまり90年代にブレイクし、その後も人気を保ってきた人たちが長く玉座にいるかのように語られがちです。たとえば「安室奈美恵、ミリオン4世代達成は史上初」とか、「ミスチルやスピッツは相変わらず安定」というように。かつてスガ シカオは私の取材に対し、「僕もミスチルみたいに国民的ヒット曲が欲しいけど、ルーツが違うからか、桜井くんにはなれない」と自虐的に笑っていたものです。

 でも、時代は確実に変わっています。今最も勢いのあるポップスターは星野源ですが、彼のブレイク以降はわかりやすく“売れるJ-POP”の定義が変わってきた。ヒゲダンにしてもゴスペルやソウルなど、ブラックミュージックの血がちゃんと通っている。アルバム収録曲の「FIRE GROUND」なんてスガ シカオがやっても全然おかしくないファンクナンバーですからね。J-POPのフォーマットというか、“2010年代らしい”ヒット曲は明らかに変わってきたのだなと、彼らの躍進を見ながら実感します。

Official髭男dism - FIRE GROUND[Official Video]

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