Tsudio Studioが考える、“音楽”と“旅”に共通する感覚 影響を受けた作品も語る

Tsudio Studio語る音楽と旅

逃避的な音楽を作っていても、現実社会からは切り離して考えられない


ーー「<Local Visions>の『旅』三部作にしたい」ともおっしゃっていました。

Tsudio Studio:<Local Visions>からは、wai wai music resortさんが『WWMR 1』、Gimgigamさんが『The Trip』という旅をテーマにしたアルバムを出していて。それもいいなと思っていたんですよね。今、仲良くさせてもらっているPictured Resortさんも、名前にリゾートって入っているし(笑)。その辺りからの影響もあると思います。

 あと、三部作といえば細野晴臣さんの『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』『はらいそ』というトロピカル三部作とか、まさに旅じゃないですか。インナートリップなところもありつつ、異国を旅しているような気持ちにさせてくれて。それが昔からすごく好きだったんですよね。今作ではそれらに加えて『omni Sight Seeing』に最も強い影響を受けました。個人的にも細野さんの作品の中で一番好きな作品です。「ここじゃない、どこか」へ行けるのが音楽の好きなところだし、自分自身も逃避的なところがあるので(笑)、聴いてトリップできるようなアルバムというのは、目指したところではありましたね。

ーーゲストミュージシャンは、海外からも多数参加していますね。

Tsudio Studio:音楽活動をしていく中で、海外の人と友達になれたのも大きいです。今回、参加してもらっている台湾のボーカリストMandarkさんや、韓国のイラストレーターSeoyoung /tototatatuさんもそうですし、それ以外にも海外のヴェイパーウェーブ勢と神戸で共演したこともありました。音楽を通じて世界の人とつながるというのが夢だったので、それが現実味を帯びてきた気がします。

ーー韓国からはNight Tempoさん、インドネシアからはikkubaru、台湾には閃閃閃閃(ザ・シャイン&シャイン&シャイン&シャイン)など、渋谷系~シティポップサウンドが同時多発的に出てきて面白い状況になってきていますよね。実際に韓国や台湾、インドネシアなどに行ったことは?

Tsudio Studio:韓国はまだないので行ってみたいです。台湾は、それこそMandarkさんが案内してくれて、めちゃくちゃいい思い出になっています。あとインドネシアはバリ島に行ったことがあるんですけど、スコールがすごくて、かなりカルチャーショックを受けました。今回、JaccaPoPのMIRUちゃんに参加してもらった「Squall Lover」は、その時の経験が基になっています。

ーーサックスソロが随所に散りばめられていて、それもアルバムの印象を決定づけていると思いました。

Tsudio Studio:サックスの音って好きなんですよね。快楽と直結しているというか。純粋に心地よい。

ーー僕は10代前半の頃に80年代を経験して、当時巷にあふれていたサックスソロに当てられてしまったというか、ちょっとエロすぎて苦手だったんですよ。

Tsudio Studio:ああ、それめっちゃわかります!(笑)。僕も、好きと嫌いが紙一重というか。

ーーそうなんです。でも、それこそTsudioさんのアルバムや、他のアーティストでもサックスがフィーチャーされている曲を聴くと心地よくなってきている自分がいるんですよね。

Tsudio Studio:そういうのって、何なんでしょうね(笑)。もう、今となっては昔の感覚に戻れないから、分析のしようがないんだけど、でもほんと時代によって好き嫌いの価値基準って変わりますよね。しかも、それが共通認識としてみんなで共有しているのが面白いなって。

 こじつけなのかもしれないけど、今、経済的に低迷していて、豊かだった頃の音楽が染みるというか。集合的無意識というか、社会全体の空気みたいなものが、そういう音楽を求めているのかなと思うこともあります。それを思うと、いくら逃避的な音楽を作っていても、現実社会からは切り離して考えられないというか。「集合的無意識」が、自分という媒体を通して歌詞に反映されているような気もします。

ーーとても興味深いです。

Tsudio Studio:僕はTwitterとかよく見るんですが、流れてくる情報はあまり受け止めすぎず、俯瞰するように心がけてはいるのですが、そこで自分の中に溜まっていったものを、音楽の力によってすくい取るみたいな感覚というか。メロディを歌いながら適当に歌った歌詞の中に、実はそういう無意識から出てきた言葉があるんですよね。これまでずっと、自分は内面から出てくる音だけをカタチにしているつもりだったんですけど、それだけじゃないんだなって。

ーーカオスの中から秩序を見出すのがクリエイティブだとしたら、あまり情報を整理せず、とにかくインプットしまくって熟成させることも大事なのかもしれないですね。

Tsudio Studio:それはものすごく共感します。最初にも言いましたが、何も考えずに映画を見まくったり、レンタルCDショップで音楽を借りまくったりしていたのが、今も財産になっていますし。あとは、聴いてくれた人の反応ですよね。「そうか、僕の音楽はこんなふうに受け止められているんだ」という手応えが、次の作品にも影響を与える。架空の神戸を舞台にした『Port Island』への反応がなかったら、旅をテーマにした今作は生まれなかったと思いますし。そうやって、今作の反応がまた、次のアルバムのモチベーションになったらいいなと。

ーー実際、次のアルバムのことはもう考えていますか?

Tsudio Studio:はい。まだ漠然としているんですけど、なんていうか……身体的なアルバムを作りたいんですよね。それは「ダンサブル」とかではなくて、もっと官能的というか。

ーーああなるほど。確かに今作には、それこそBeckの『Sea Change』にも大きな影響を与えたセルジュ・ゲンスブールのデカダンスな雰囲気は感じますよね。

Tsudio Studio:それはめっちゃ嬉しいです。エロティックなものを音楽に求めているところは常にあるので。「エロいアルバム」というと言葉は強烈すぎますけど(笑)、音にしてもすごく官能的なものを作りたいです。ただ、まだあまり言葉にしたくなくて。今、ふわっと言えるのはそんな感じですね。

(取材・文=黒田隆憲/写真=池村隆司)

■リリース情報
『Soda Resort Journey』
発売:12月4日(水)
価格:¥2,091(税抜)
レーベル:LOCAL VISIONS/ULTRA-VYBE

収録曲:
1. Soda Resort Airline
2. Kiss In KIX
3. Star Resort Island [鍵盤ハーモニカ&ラップ:ゆnovation]
4. Colorless Diary
5. Beijing Cat
6. Taipei Girl [vocal:Mandark co-arrange:Crystal Cola]
7. Dragon Taxi
8. Squall Lover [vocal:MIRU(JaccaPoP)]
9. Like A Luin
10. Homesick Iceland
11. Asian Coke Light
12. Soda Resort Hotel [vocal:さとうもか]

■Tsudio Studio information
HP
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