Honda VEZEL CMソングにも抜擢 世界が色めき立つFriday Night Plansの流儀

世界で注目集めるFriday Night Plansの流儀

 キラリと輝くルーキーたちの台頭によって、未だかつてない多彩なフェーズを迎えている和製R&Bの世界。SNSや定額制音楽配信サービスの発展も手伝って、今や四方八方で若きスターが誕生している状況だが、中でも“彼女”の音楽には圧倒的な求心力を感じずにはいられない。

 Friday Night Plans。日本人の父とフィリピン人の母を持つMasumiによるアーティスト・プロジェクトだ。2018年にデビューして1年数カ月、未だ詳しい本性はベールに包まれている謎めく新星だが、その神秘的すぎる佇まいを音楽ファンが放っておくはずもなく、注目度はあれよあれよと上昇。先日リリースされたばかりの2nd EP『Complex』はiTunes R&B/ソウルランキングで1位を獲得したほか、注目株を続々と輩出するHonda VEZELの新CMソング(夜篇)に、彼女書き下ろしの楽曲「HONDA」の起用が決定(同CMの昼篇にはKing Gnuの書き下ろし楽曲「小さな惑星」が起用)。あまねく人々にその名前が知られるのは、もはや秒読みの状態にある。

VEZEL TVCM「PLAY VEZEL 昼夜」篇

 Friday Night Plansの特性を挙げるとするならその“発火ルート”だろう。例えば『Complex』のリード曲である「All The Dots」がUK版「iD MAGAZINE」のプレイリストに選出されたり、続く「Decoy」もアメリカの人気メディア「FADER」でミュージックビデオがプレミア公開を果たすなど、日本以外の国でピックアップされる機会がじつに多い。さらに遡れば、多くの外国人がシティポップに沸く契機となった竹内まりやの「Plastic Love」をカバーした際も、その楽曲を韓国の人気グループ・NCTのメンバーがダンス動画のBGMに起用したことでムーブメントに。これらの異例とも言える快挙からは、Friday Night Plansがグローバルに羽ばたくことを前提に推し進められた、裏を返せば音楽性のガラパゴス化を意図的に回避しているプロジェクトであることが見て取れる。事実、ほぼ全ての楽曲が英語詞で綴られており、海外の人々にとっては近い距離感で享受しやすい大きな拠り所となっている。

Friday Night Plans - 'Plastic Love' Cover Version (Original Song by Mariya Takeuchi)

 無論、他のアーティストが彼女と同様に英語詞で歌ったところで、このような立派な結果を招くとは断言し難い。Friday Night Plansはまずもって、Masumiのボーカルがとにかく素晴らしく、作業中でも思わず手を止めて耳をすませたくなるほどの秀でた個性を有する。エアリーかつウィスパーじみた発声を敬愛し、たとえ低音のパートであっても重量感を断じて醸さない。その何とも涼しげな所作は、「All The Dots」やadidas Originalsとのコラボ曲としてJJJ、STUTSと共に制作された「PRISM」など、ファルセットを強く打ち出した楽曲で遺憾無く発揮されている。

Friday Night Plans - All The Dots (Prod.Tepppei)
Friday Night Plans, JJJ, STUTS - PRISM

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