Tsudio Studioが考える、“音楽”と“旅”に共通する感覚 影響を受けた作品も語る

Tsudio Studio語る音楽と旅

Tsudio Studioが特に影響を受けたアルバム


ーーところでTsudioさんは、いつもどのように曲を作っているのですか?

Tsudio Studio:『Port Island』の頃は、まずビートを組んでからコードを乗せ、それを聴きながらラフに考えたメロディをブラッシュアップしていくという作り方が多かったんですけど、最近は鼻歌でメロディを作ってそこにコードを当てていくというやり方が増えましたね。というのも、人からアレンジやミックスを依頼されるようになって、逆にメロディにコードを当てていくという発想が必要になってきたんです。最初はそれが難しくて苦労したんですけど、頑張ってやっているうちにいつの間にか身についてました(笑)。今回、新作について「前作よりメロディが強くなった」と言ってもらえることが多いのは、そうした作り方の違いもあると思います。

ーーでは、ソングライティングの面で特に影響を受けたアルバムを3枚挙げるとしたら?

Tsudio Studio:まずはジム・オルークの『Eureka』ですかね。あとBeckの『Sea Change』、コリン・ブランストーン『One Year』。第一級の名盤ばかりですが、志としてはこういうアルバムに近づけるような作品を作れたらいいなと思っています。

ーーちなみに、映画も好きだとおっしゃっていましたが、映像はどんな世界観のものが好きですか?

Tsudio Studio:通っていた大学に、VHSビデオの膨大なライブラリーがあって。基本的な名作は揃っていたんです。学生時代は暇やからそれを片っ端から観ていたんですよね。映画の知識や映像の美学など、そこでかなり培われたと思います。特に好きな監督は伊丹十三なのですが、映像的なところでいうと、そうやなあ……やっぱりフランス映画になるのかな。エリック・ロメール監督とか、色彩もすごく綺麗で惹かれましたね。赤の使い方とか印象に残っています。

ーーでは、今作『Soda Resort Journey』についてですが、「架空の航空会社『Soda Resort Airline』で行く逃避行の旅」というコンセプトになっているんですよね。

Tsudio Studio:自分としては、コンセプトってそんなに重視するタイプではなかったんですけど、前作で「架空の神戸」をコンセプトにした作品を作ったら、そこを入り口に聴いてくれた人が思いのほか多かったんです。それで思い返してみたら、確かに自分自身もとっ散らかったアルバムよりは、何か全体的に一つのテーマに貫かれたアルバムの方が好きだということに気づいて。

ーー今、挙げてくれた3枚も、そういうタイプのアルバムですしね。

Tsudio Studio:そうなんです。なので、今回もまずはテーマを決めてから作りたいという気持ちがあって。それでいろいろ考えていた時に「旅行」というキーワードが思い浮かびました。最初に話したように、家族が旅行好きで、その影響で今も「旅行」というといいイメージがあるんですよね。音楽を聴くという行為も「旅」に近いというか。海外の音楽を聞くと、その国のこととかイメージしたり、旅しているような気分を味わえたり するじゃないですか。そこで「『Soda Resort Airline』という架空の旅行会社が企画した世界ツアー」をテーマにアルバム制作をすることに決めました。

 しかも、複数の登場人物による群像劇なんです。出てくる人たちは、故郷から遠く離れたところで恋人と喧嘩したり、旅を堪能していたり、疲れてぼーっとしている感じだったり。そういう異邦人ならではの感情を詰め込み、曲順にもこだわりながら作りましたね。

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