SixTONESとSnow Manのデビュー曲はどんな曲? 「Imitation Rain」と「D.D.」から浮かび上がる2組の魅力

Snow Manの覚醒、伝統と革新を醸し出す「D.D.」

 一方、Snow Manの「D.D.」は、踊れる彼らのスキルを存分に発揮するダンスナンバー。長年、『滝沢歌舞伎』をはじめとしたジャニーズ舞台を盛り上げてきた、岩本照、深澤辰哉、渡辺翔太、阿部亮平、宮舘涼太、佐久間大介。そこに新たにラウール、向井康二、目黒蓮の3人が加入し、現在の9人体制となって決めたCDデビュー。

 苦楽を共にしてきた6人と、それぞれのフィールドにいた3人。年齢も経験値も異なり、一見すると大きな摩擦が生まれそうな加入劇だった。だがフタをあけてみれば、“これ以上の化学反応はなかったのではないか“と思わせるほど、全員がめざましい進化を遂げた。

 特に、センターに立つラウールは、15歳のあどけない少年の顔だった。だが加入後、Snow Manの末っ子としてメンバーに可愛がられ、のびのびと表現できる環境を与えられたことで、明らかに覚醒。見せるダンスから、魅せるパフォーマンスへ。色気と技術を手に入れ、天井知らずな成長を続けるラウールに8人も刺激されないわけがない。

 そんな、お互いを伸ばし合える自家発電型グループになれたのは、年上メンバーたちの愛情深さあってのもの。歴史を重んじるジャニーズらしさを持ちながら、変化をも愛することのできる懐の深さゆえだ。“伝統と革新“その相反する概念が共存しているのが、今のSnow Manが持つ強み。

 そんなSnow Manのデビュー曲「D.D.」は、間違いない感がすごい。それもそのはず、作曲は、SMAP、TOKIO、滝沢秀明、タッキー&翼、V6、嵐、山下智久、NEWS、関ジャニ∞、上田竜也(KAT-TUN)、Kis-My-Ft2、Hey! Say! JUMP、Sexy Zoneと数々のジャニーズグループに楽曲を提供してきたHIKARIが担当。作詞者も、V6、NEWS、ジャニーズWEST、Kis-My-Ft2、King & Prince、なにわ男子など、同じく数々の楽曲を提供した実績のある栗原暁(Jazzin’park)が名を連ねる。

 彼らのダンスが映えるサウンド、ファンと共に掴んだデビューへの気持ちを綴る歌詞……、ジャニーズソングのヒットメーカーたちが揃い、長年彼らの活躍ぶりを直接見守ってきた滝沢が仕掛けるデビューとくれば、Snow Manの名刺代わりとなる楽曲が生まれないわけがない。

 そんな伝統をベースに仕上がった楽曲を、今度はパフォーマンスで革新。人数を活かした多彩なフォーメーションチェンジは、彼らの動きそのものが豪華セットに匹敵するほどの華やかさ。イントロでゆるやかに動き出したかと思えば、あっという間に縦一列になり、次の瞬間にはもうステージを広く使って菱形のような立ち位置に。素早い動きと丁寧なアクロバットは余裕が漂い、まさに満を持してのデビューであること、完全に仕上がっていることを印象づけるのに十分だ。

 ジャニーズソングの伝統を踏襲しながら、“ジャニーズアイドルのデビュー曲=初々しい“イメージを一切捨てるという革新。そして、英語歌詞が多いのは、きっとSixTONES同様、国内に留まらない覚悟の現れに違いない。SixTONESが“海外でのJ-POPのイメージを一新させる“開拓者なら、Snow Manが“世界にJAPANESEジャニーズを広める“伝道者になる可能性を持ったグループと言えるのではないか。

 デビュー楽曲は長く愛され歌われ続けるもの。10年、20年……と、彼らがこれらの曲をどのように歌い続けていくのか楽しみでならない。いつも想像以上の結果を見せるSixTONESと、期待以上の進化を遂げるSnow Man。この2組が切磋琢磨していくことで、私たちの想像も期待も超える未来が待っているかもしれない。

(文=佐藤結衣)

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