『Perfect Lies』インタビュー
THE SIXTH LIEが考える、80年代と現在を繋ぐレトロフューチャーな音像「深夜のワクワク感を曲にしたい」
THE SIXTH LIEが、11月27日に1stフルアルバム『Perfect Lies』をリリースする。同作には、アニメ『とある科学の一方通行』OPテーマ「Shadow is the Light」やアニメ『ゴールデンカムイ』第1期EDテーマ「Hibana」をはじめとする全12曲が収録されている。
結成4年で初となるフルアルバムは、レトロフューチャーをテーマに制作。世界基準のサウンドや様々なカルチャーを取り込み、J−POPの人懐っこさはありながらも、彼らが追求するロック×ダンスミュージックの現時点での最高峰を表現した。海外でのライブ経験から自身のクリエイティブに確信を得たという彼らが、どのように『Perfect Lies』を生み出したのか。楽曲の制作秘話と共に、THE SIXTH LIEが目指す音楽の現在地について話を聞いた。(編集部)
レトロな80年代の骨組みに洋楽の最新の音を取り入れた
ーーTHE SIXTH LIEの1stフルアルバム『Perfect Lies』が、結成から4年目のタイミングでリリースされますが、率直にどんな思いがありますか。
Reiji:今までミニアルバムしか出したことがなかったので、やりたいことがたくさんできるうれしさがありました。今までよりもコンセプトが強いアルバムが作れたし、曲と歌詞とアートが合致したアルバムって感じがします。
Arata:聴いてきたアーティストがフルアルバムを作ってる人が多くて、やっと来た! って感覚があります。聴きごたえがある作品になったと思います。
ーー12曲中10曲が新曲というのも、気合いの表れと受け取れますが。
Reiji:そうですね。シングル曲の「Hibana」と「Shadow is the Light」はアニメのタイアップなので、どちらかというとアニメの世界観に寄った楽曲なんです。そこで僕らを知った方に、他の10曲で思いっきりTHE SIXTH LIEの世界観を見せたいという気持ちがありました。僕らも、やりたいことを思いっきり自信を持ってやれました。
Ray:そもそも、こんなに曲をまとめて作るのも初めてだったんです。これまでは、ミニアルバムを1年ごとに出していたので、毎回6曲くらいを時間かけて作っていく感じだったんですが、今回はまとめて作ったんです。
Reiji:作業的な話だと、今までは1曲ごと完成まで詰めて作っていたんですが、今回は10曲の骨組みをバッと作ってできるところから詰めてくって感じでした。
ーー全体を通じて、どんなサウンドを目指したんですか。
Reiji:サウンドとしては、2ndアルバム『DIFFERENTIAL』に「Endless Night」って曲があるんですけど、それは多くの人に人気な曲なんです。
Ray:「Endless Night」は、ライブの最後でやる一番盛り上がる立ち位置の曲で、やるとみんな幸せな顔でライブを終えられるんですよ。
Reiji:なので、1回そういうベクトルにフォーカスした作品を作るのもいいんじゃないかってことになったんですよ。その曲は懐かしい感じのチープなシンセが入ってるので、そこから広げて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な感覚のレトロフューチャーってコンセプトを音楽に落とし込みたくて。レトロな80年代の骨組みに洋楽の最新の音を取り入れたものを作っていこうというのがありました。
ーーサウンドの変化で、Arataさんの歌もこれまでと違いが出てくるんじゃないですか?
Arata:歌は、どんどん歌いやすい楽曲に変化してます。その方が、ライブ中に煽りとかもできてお客さんを盛り上げやすくなるんです。アルバムを通してライブ映えする曲が多いので、そっちにシフトしていった感じですね。
ーーリズム隊のこれまでとの違いは?
Ryusei:今までと比べて、バンドのアンサンブル中心のサウンドになったんです。ベースは、レコーディングがすごく難しかったですね。跳ね感が多くて、たくさん練習してレコーディングに臨みました。
Reiji:音はデモの段階でオレがキーボードで打ってるから、とんでもないフレーズになっちゃうんですよ。人が弾くことを考えてないないから(笑)。
Ryusei:そこからそっち行く? みたいなことがしょっちゅうです(笑)。まあベーシストあるあるだと思います。ドラムもあるよね?
Ray:手が3本ないと叩けないのとかある(笑)。ただ、今回ドラムはライブのノリやすさを重視したのでそこまで難易度は高くないんです。その分、メインのノリ感を出さなきゃいけないベースが難しくなったんだと思います。
Ryusei:これは、僕への期待の表れですね(笑)。
ーー試練をポジティブに受け取ったと。歌詞は、これまで以上に日本語詞が多くなりましたね。
Ray:今回洋楽っぽいメロディが多かったんですけど、シングル2曲がほぼ日本語だったし、もっと日本語を増やそうって話になってたんです。ただメロディがシンプルで音数も少ないので、どうしても日本語だと文章量が足りなくて。なのでワンテーマに絞って広げていく曲がけっこう多かったです。シングルの2曲は歌詞の中で起承転結があるけど、他の曲はそれとは対照的にキャッチーなひとつのコンセプトに沿って書きました。
ーーでは、制作していく中でアルバムの柱になった曲はありますか。
Reiji:一番最初に形になったのが「Phone Call」でした。3月のワンマンでやったんですけど、初披露と思えないくらいお客さんがノッてくれたんです。自分たちもやってて楽しいし、これはいいなと思えましたね。なので今回のアルバムは、ライブで演奏して楽しいってことしか考えてない曲で固まってます。
ーー完全にライブ仕様なアルバムだと。
Reiji:そうですね。今まで僕らは曲の展開がすごくあるバンドだったけど、今回はシンプルにA、B、サビってくるノリでそのまま行っちゃおうって曲が多いです。
ーー「Phone Call」は、どのようなイメージで作られたか聞かせてください。
Ray:いつも、Reijiがデモの曲を作って、Arataが歌メロに仮で適当な英語っぽいのを乗せるんです。そこから僕が歌詞をつけていくんですけど、ああいうかわいいレトロな感じの曲調は初めてでした。
Reiji:確か、お店のBGMか何か聴いて「Endless Night」と親和性があるなと思って作った曲なんです。音でこだわったのは、サビのあとにドロップって乗れるパートが来るんですけど、そこでボーカルチョップを入れたんです。声を加工して散りばめるのって日本ではあまり浸透してないし、特にロックバンドではやってる人がいないので、じゃあやっちゃおうって入れましたね。
ーーキャッチーな曲ですが、歌詞はわりと切ないですね。
Ray:曲を聴いたときに切ない感じがしたのと、あとArataがつけた仮歌をつけた段階で「Phone Call」だけは言ってたんですよ。覚えてる?
Arata:そうですね、覚えてないです(笑)。
Ray:(笑)。キャッチーなワードだし、ここから広げて切ないテーマにしようって書いていったんです。
Reiji:今回、Arata語から派生した歌詞多くない?
Ray:多い。「Massive Attack」もだし、「Secret Town」はもともと“シークレットクラウン”だったんです。流石に“秘密の王冠”じゃダメだなと思って響きの近い単語にしたんです。