赤い公園は“決まった型”にはまらないーー『FUYU TOUR 2019 “Yo-Ho”』で見せる挑戦的なスタイル

赤い公園がライブで見せる挑戦的なスタイル

 衝撃の連続に体感としてはあっという間だった。

 赤い公園が、現在全国11公演にわたるツアー『FUYU TOUR 2019 “Yo-Ho”』を開催している。ツアー2公演目、11月10日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われたライブを観た。筆者が赤い公園を観るのは、今年春に開催された新体制となって初のワンマンツアー『Re: First One Man Tour 2019』以来。およそ半年の期間で、夏フェスへの出演を経て、バンドはさらなる変貌を遂げていた。

 2018年5月に新ボーカルとして石野理子が加入。同年の夏フェス、冬フェスへの出演はあったものの、『Re: First One Man Tour 2019』は石野を迎えた新しい赤い公園が、全国のファンに会いに行くという意味合いを持ったツアーだった。そこで披露されたのは、石野が加入する以前の赤い公園の既存曲と2018年10月に新体制初の新曲として発表された「消えない」だけでない、多くの未発表曲。赤い公園は新体制の初お披露目となった『VIVA LA ROCK 2018』のステージでもすでに新曲を披露していたが、ライブ、ツアーを重ねるごとに、新曲のストックは増え続けている。実験的で、挑戦的なその活動スタイルは、今年7月に生配信され、音源化されていない新曲を中心としたライブが展開された『赤い公園 YouTube Live』からも見て取れるだろう。10月にリリースとなった『消えない - EP』は、現在の赤い公園のライブスタイルからすれば、言わば“体験版”。オフィシャルインタビューからも、石野の存在に感化された津野米咲(Gt)の湧き出る創作意欲が伝わって来る。「凛々爛々」のMVで石野が全力疾走しているような、限りなく前傾姿勢の状態が、今の赤い公園だ。

石野理子(Vo)

 今回の『FUYU TOUR 2019 “Yo-Ho”』で最も驚いたのは、半年前から遥かにアップデートされたバンドのパフォーマンスだった。オープニングSEが会場に響くと、4人がゆっくりとステージに登場。おもむろに楽器が鳴り始める中、石野だけが俯き加減に、ステージの中央で凛とした姿で立っている。そんな思わず息を呑む光景から1曲目はスタートする。石野は『VIVA LA ROCK 2018』から、10代とは思えない佇まいと歌声でフロアを圧倒し続けてきたが、同時に彼女の持つ風格はより研ぎ澄まされていっているように思う。津野、藤本ひかり(Ba)、歌川菜穂(Dr)の3人も石野に呼応し、グッとバンドとしてのグルーヴ感が強くなっていく。

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