黒崎真音、ライブで確かめた音楽とファンへの愛情 『Beloved One』ツアー東京公演を振り返る

黒崎真音、ライブで確かめた音楽とファンへの愛情

 黒崎が、あらためてレーシーなブラックのセットアップにお色直ししたライブ後半戦でフロアの熱量はピークを迎えることになる。彼女とバンドは「Red Alert Carpet」「JUNCTION」「New world order」「ROAR」と、アッパーなギターロックナンバーを連投。ステージ、そしてフロアにアグレッシブな空気を充満させると、黒崎はオーディエンスをいったんクールダウンさせるかのように、メジャーデビューから9年のキャリアを振り返りつつ「“黒崎真音”になれてうれしい」「キラキラしているみんなの光が投影されて私も輝ける」「私にとっての愛がここにあることに気付いた」と語りかけて、アルバムのタイトルチューンにしてブライトな「Beloved One!」を優しく、そして明るく歌い上げて「楽しい時間をありがとう」とステージをあとにした。

 熱烈なアンコールに応えて、ツアーTシャツ姿で現れた黒崎はバンドメンバーの紹介を挟みつつ、キレのいい8ビートで魅せる「LIMIT BREAK」や、フロアがヘッドバンギングの波で揺れた「VANISHING POINT」、エレクトリックな原曲を生バンドならではのラウドロックへとお色直しした「UNDER/SHAFT」とライブ本編の勢いそのままに、アッパーなナンバーを連発。そしてシンプルでシャープな“ナマ感”あふれるアレンジに彩られた、キラーチューン「Magic∞world」でアンコールのステージを締めくくった。

 しかしその後もフロアでは「もう1回」コールは鳴り止まない。すると、ステージに再々登場した黒崎は「みなさん一緒に踊ってくれますか?」のシャウトとともに、この日2度目の「peko peko peach♡」をパフォーマンス。そのオケに合わせて、バンドメンバーとオーディエンスとともに、ときにボックスを踏みながら、またときには彼らとともに腕を大きく振り上げてハートマークを作りながら、あらためてこの曲をラブリーに歌ってツアー初日のステージを締めくくった。

 この日のMCで黒崎は「今回のツアーは明るくいきたいなと思っている」とコメント。そしてツアー初日となるこの日の公演はこの言葉と「『Beloved One』=愛するなにか」というツアー&アルバムタイトルどおり、どこまでもポジティブで、まさに愛あるステージに仕上がっていた。そのサウンドやスタイリングはゴシッキーで、ときにダークとすら言われがちな黒崎楽曲ではあるが、デビュー10年目という区切りの年に彼女は新たな表現を獲得。そのダークでゴシッキーな自身の音楽世界と、ファンとのコミュニケーションの場でもあるライブならではの幸福感を高次元で両立することを成し遂げていた。

(取材・文=成松 哲/写真=山本哲也)

<Maon Kurosaki Live tour 2019 〜Beloved One!〜 東京公演セットリスト>
OP アイヲツナイデ-Angel of the wheel-
01.僕だけが世界から消えても
02. 幻想の輪舞
03. Gravitation
04. Brand new standing wings
05. Begging☆Journey
06. décadence -デカダンス-
07. A.I.D
08. DEAD OR LIE
09. Renka.
10. Black Bird
11. Dresser girl…♡
12. LOVE○JETCOASTER
13. peko peko peach♡
14. メドレー(FIXED STAR、masterpiece、No buts!)
15. Red Alert Carpet
16. JUNCTION
17. New world order
18. ROAR
19. Beloved One!
<アンコール>
20. LIMIT BREAK
21. VANISHING POINT
22. UNDER/SHAFT
23. Magic∞world
<ダブルアンコール>
24. peko peko peach♡

黒崎真音 公式サイト

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