バーチャルシンガー YuNiが届けたリアルとバーチャルを超越する思い 初の単独ARライブレポート

YuNiが届けたリアルとバーチャルを超越する思い

 バーチャルシンガー YuNiが、10月5日、Veats Shibuyaにて、初単独生誕ARライブ『UNiON WAVE ~evolve~』を開催した。

YuNi

 YuNiは、2018年5月14日、YouTubeに自身のチャンネル「YuNi - virtual singer -」を開設。6月14日に公開した「【自己紹介】プラチナ 歌ってみた【カードキャプターさくら】」が彼女の初投稿動画であり、その透明感のある歌声に注目が集まった。同年10月に発足したプライベートレーベル<yunion.wave>からリリースしたオリジナルソング「透明声彩」は、iTunesランキングで総合3位を記録。2019年4月にリリースしたアルバム『clear / CoLoR』は、iTunesランキング で総合4・5位を獲得。ボカロ、邦楽、洋楽など、ジャンルを問うことなく、様々な楽曲に挑戦している。

 YuNiがステージ中央に現れると、ライブは1stシングル曲「透明声彩」からスタート。緑のペンライトの光によって、会場一体がYuNi色になっていく。笑顔で手を振り上げながら歌うYuNiにならって、ゆにチル(ファンの総称)は勢いよく声を合わせた。YuNiは「今日は楽しんでいってくださーい!」と語りかけると、2ndシングル曲「Winter Berry」へと繋ぐ。ここからは、ふたりの女性ダンサーが加わり、3人のシンクロした華麗なるダンスが次々とステージに花を添える。緑色で埋まった場内に微かに交わる白い光は、まるで雪のようだ。3rdシングル曲「花は幻」では、ダンサーふたりが踊る間、YuNiは透明感と力強さを共存させた歌声を披露。

 曲間に挟まれたムービーは、バーチャルシンガーとして活動するなかで得る喜びや葛藤など、やりたかったことの答えを導き出すまでのYuNiの心境を綴ったストーリー。“葛藤”を意図するムービーを経て続いたのは、そのテーマに合わせたような「ジレンマ」。バーチャルだからこそ可能になることだが、再び登場したのは、YuNiと白の衣装を纏ったもうひとりのYuNi。1曲目から歌っていたYuNiが、ステージ中央で崩れ落ちると、白い衣装のYuNiが歌唱のバトンを握ることに。その絵は、これまでの彼女からこれからの彼女へと、アップデートする瞬間を描いたものなのかもしれない。「ウタオウヨ、ウタオウヨ」では、パワフルに踊り歌う彼女に続いて〈歌おうよ歌おうよ〉というゆにチルの声や、間奏を盛り上げる煽り声などで強烈な一体感を生み出していた。

 また、YuNiの一挙一動があるたびに、珍しいものを見たかのような喜悦の声が終始上がっていた。バーチャルとしての彼女は、決して触れることができない。さらには消えてしまうかもしれない、儚げな存在だ。だからこそ、YuNiへの思いが溢れ、ここにはよりリアルな熱が生まれているのだろう。MC中も、YuNiとゆにチルが互いに言葉を交わし合い、温かみに満ちた空間ができあがっていた。バーチャルでも、そこにある空気はリアルに近い。

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