Klein、Kindness、Byron The Aquarius……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜9選
Flying Lotus『Los Angels』のプロデュースに抜擢され注目を集め、セオ・パリッシュやFloating Pointsともコラボしてきたアトランタのキーボード奏者、バイロン・ジ・アクエリアス(Byron The Aquarius)の1stアルバムが『Astral Travelling』 (MUTUAL INTENTIONS)。黒光りする激渋なディープハウス〜エレクトロニックソウルは、決して流暢とは言えないゴツゴツしたボーカルも含め、とても無骨で人間的です。
UKジャングル〜ドラムンベースのレジェンド、4 Heroのディーゴ(Dego)の3枚目のソロアルバムが『Too Much』(2000 Black /P-VINE)。女性ボーカルをフィーチャーしたネオソウル風の歌モノから、彼らしい変則的なブレイクビーツまで、ファンク、ジャズ、2ステップなどを横断する手練れの技はさすがに英国ダンスミュージック史上最高度に洗練された音楽を作り続けてきたベテランならでは。昔のような切れ味はありませんが、そのぶん大人の余裕が感じられる佳作です。なおCDリリースは日本のみだそう。(作品詳細はこちら/bandcampからの試聴はこちら)
最後に日本人クリエイターの作品をひとつ。仙台を拠点に活動する電子音楽家ケイ・サトウ(Kei Sato)の3年ぶり2作目が『Constellation Journeys』(PROGRESSIVE FOrM)。繊細で手つきで編み込まれた電子音の煌めきがとてもロマンティックで映像的なエレクトロニカ。いいオーディオで部屋の灯りを暗くして、想像力を豊かにして聴きたい美しい作品です。
■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebook/Twitter