Klein、Kindness、Byron The Aquarius……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜9選
英国出身ベルリン在住のDJ/プロデューサーのバーカー(Barker)ことサム・バーカーの4年ぶり2作目が『Utility』(Ostgut Ton/OCTAVE-LAB)。トランシーで流麗で洗練されたテック〜ミニマルハウスで、美しいメロディとクールなテクスチャー、疾走感のあるダンサブルなリズムが見事に融合した快楽度の高い作品に仕上がっています。テクノ〜ハウスのアルバム作品としては久々に聴き応えのある傑作です。(bandcampからの試聴はこちら)
パリの作曲家/プロデューサーのダヴィッド・シャルマン(David Chalmin)のアルバム『La Terre Invisible』(Ici D'Ailleurs)。プロデューサー/エンジニアとしてThe Nationalなどを手がけ、ミュージシャンとしてはポストクラシカルやエクスペリメンタルな電子音楽の分野で活躍してきた人です。これがソロとしては1stアルバム。メロディックで叙情的なアンビエント〜ディープ〜テックハウスで、非常に洗練された上品で完成度の高い作品に仕上がっています。
ノルウェーのシンガーソングライター、ジェニー・ヴァル(Jenny Hval)の3年ぶり7枚目のアルバム『The Practice of Love』(Sacred Bones Records/Inpartment)。息が詰まりそうなダークでヘヴィな前作から一転して、柔らかく温かい光が差し込むような優しく広がりのあるアヴァンアートポップを展開しています。この人らしく奇妙でねじれた世界ですが、この人にしては非常に聴きやすくとっつきやすくもある。懐の深い包み込むようなサウンドが非常に魅力的な佳作です。(作品詳細はこちら)