大森靖子も参加のZOCが示す、新たなアイドル像 活動1周年でZepp Tokyo公演実現するグループ力
こだわりの詰まった衣装を身に纏い撮影されたメジャーデビューシングル曲「family name」のMVでは、力強くダイナミックに踊りきる姿が印象的だ。さらに、冒頭、薄暗い部屋で携帯を見つめる香椎かてぃが、机をひっくり返し部屋を飛び出すシーンは、解放や始まりを感じさせるエモーショナルなシーンになっている。作詞作曲は大森靖子が担当。歌詞は、彼女たちの生い立ちや、自分らしさに寄り添ったものになっている。〈family name 同じ呪いで だからって光を諦めないよ〉〈生き抜いたその先をみてくれ 私と この世の果てまで〉〈正論も正義も全部邪魔なだけ〉と、アイドル道を切り拓いていくことへの決意や、〈かわいそう抜きでもかわいいし 私をぎゅってしないなんておかしい〉“カワイイ”への執念、ありのままの自分を愛することの意義、そして〈クッソ生きてやる〉に彼女たちの積年の想いが集約されている。想いの丈を込めた〈クッソ生きてやる〉の絶唱は、心を思わず動かされるし、彼女たちだからこそ歌うことのできる切実なメッセージは、ますます今後のZOCの強みとなっていくに違いない。
従来のアイドルでは考えられなかったマイナス要素を武器に変えたメンバーの強い個性。アイドルの固定概念を壊しながら突き進んでいく、圧倒的な求心力。さらにはメンバーだけでなく、同じような悩みを持ったリスナーの“「孤独を孤立させない」場所”となり得たこと。それらの要素が合わさったことで彼女たちの人気は加速し、活動1周年でZepp Tokyoワンマンライブを行うまでに至ったのだ。
そして1周年の今日、ZOCは日本屈指のライブハウス・Zepp Tokyoの舞台に立つ。結成からの1年、小規模な特典会やチェキ会を通して目に見える形でファンと交流し、リリースイベント、『ビバラポップ!』や『TOKYO IDOL FESTIVAL』といったフェスへの出演など、ライブ活動も積極的に行ってきた。少し前の彼女たちには、想像もつかないようなことが日々起きてきた中で、その変化に敏感に反応しながらも、着実に歩みを進めている。その過程すら美しく見えるのは、立派な彼女たちの魅力だろう。Zepp Tokyo公演が、ミクロな感情を起爆剤に変え、ZOCの、そして一人ひとりの生き様が投影されたステージになることを期待している。ZOCのスタートラインはここからだ。
(文=石見優里佳)