ZOCの信念を貫き通す眩しさ “家族”のように集った6人の特別な関係性

ZOCの信念を貫き通す眩しさ “家族”のように集った6人の特別な関係性

 顔が整っている、目が大きい、まつ毛が長い、手足が長い、華奢で細い……。

 誰かが作った既成の「カワイイ」条件をすべて満たした上で、なおそこからはみ出してしまうもの。既存の枠からはみ出しても、これこそが自分たちの作り出す新しい「カワイイ」であると認めさせる強さ。

 他のオーディションでは掬いきれない存在であっても、今までにない存在価値、新しい魅力を見つけるアイドルオーディション「ミスiD」。引きこもりでも、自撮り詐欺でも、ヤンキーでも、少年院出身でも、「その人がその人らしく在る」ことの魅力。

 ミスiD審査員の大森靖子ちゃんが、選考過程で出会った女の子たちと、前ユニット時代から縁ある西井万里那ちゃん、一人一人に自ら声をかけて、プロデューサーでなく“共犯者”として始めたアイドルグループZOC。規格外のはみ出し者達が集まった時の最強感。

 4月20日、『MARQUEE祭 Vol.28』渋谷O-WESTのステージで初めて生で観たライブは、大森靖子ちゃんと西井万里那ちゃん不在のZOCだった。それでも、イチゴが二次元ではただ可愛いモチーフなのに、実物を凝視すると結構毒々しい色をしていて、箱を開ける前から匂い立つ香りの強さであるような、4人を体感できた。

 藍染カレンの、誰もが本能的に惹きつけられ目が離せなくなる、踊りとシルエットと視線。兎凪さやかの、自信なさげで怯えていたウサギがソロパートで解放され弾ける瞬間。香椎かてぃの、雨の中捨てられた仔猫が自分の存在を必死に主張するシャウト。戦慄かなのの、菩薩の笑顔でニッコリしながら確実に急所を突いてくる陰の参謀感。

 誰もが圧倒的マイナスとしか捉えられない事実を自らの力で逆転させ、誰にも真似できない圧倒的プラスの魅力に変えた稀代の才能。真夜中に動き出すフランス人形のような恐ろしく可愛いお顔に、真性のヤンキー気質。ハイトーンのほんわかした声で発する言葉は刃物のごとく鋭く刺さる、最強で最凶の可愛さ。

 『ロンタイBABY』や『スケバン刑事』といった漫画の影響で、ヤンキーに猛烈に憧れていた中学生の自分を思い出した。その頃でもすでにスケバンは絶滅危惧種だったので二次元にしか存在しないと思っていたけれど、ヤンキースピリット(顔が綺麗で喧嘩が強い、校則も法律も逸脱するけれど、人情に厚く、自分の中の正義だけは死んでも守る)を受け継いだ存在に、21世紀の日本で出会った。

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藍染カレン
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 ZOCが女の子たちに人気なのは、ただ可愛いからだけじゃない。ZOCが歌うのはオリジナル曲の他に、大森靖子楽曲のカバー。十代の女の子にとって、その音楽が「自分の気持ちが歌われている」と感じられるのはきっと何よりも大切なこと。しかもその歌を、自分たちの好きな「カワイイ」女の子たちが歌っていたら、こんなにも魅力的なアイドルはいないだろう。

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