SUPER★DRAGON 和哉、壮吾、楽の個人MV分析 物語の完結とグループのアイデンティティ

スパドラ『3rd Identity』個人MV分析③

[MV] SUPER★DRAGON / Don't Let Me Down

 そして、1曲目~9曲目まですべての楽曲を観た後で、Blu-rayの収録順としては最終曲となる全員リード曲「Don’t Let Me Down」のMVを観ると、それぞれの個人MVに登場したアイテムが、真っ白な空間の中に白塗りで登場する。実はこの「Don’t Let Me Down」のMVには、「AIが生み出した新たな人類を描く」というテーマがあり、真っ白で無機質な空間は、その雰囲気が視覚的に表現されたもの。対して随所に挿入されるメンバーそれぞれの個人MVの映像はカラーで表現されていて、「人としての記憶」と「AIとしての現在」がコントラストを描いている。つまり、AIとして新しい生を受けた彼らの頭の中に、「かつて人間だった頃の記憶」が、次々にフラッシュバックしていくような構成のMVになっている。

 この「それぞれの記憶」とは、もちろん、アルバム『3rd Identity』のテーマでもある「ひとりひとりの個性」が、物語の断片として置き換えられたもの。それぞれの個性が集まって、ひとつの大きな魅力を生み出していくSUPER★DRAGONというグループのアイデンティティが、今回のMVシリーズ全体からも伝わるような構成になっている。また、楽曲だけでなく、映像においてもそれぞれの個性を表現していく個人MVシリーズ自体も、ダンス&ボーカルグループとして、楽曲/パフォーマンスだけにとどまらないビジュアル表現も追求してきた彼らだからこそ映えるものなのだろう。「音楽表現/映像表現といった表現手段の違い」や、「メンバーそれぞれの個性の違い」をすべて詰め込みながら、同時にグループとしての一体感を表現することで、一般的なダンス&ボーカルグループの枠をはみ出していくような、「この9人ならではのアイデンティティ」が感じられるものになっている。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■リリース情報
『3rd Identity』
発売:2019年8月14日(水)
<Limited Box>
価格:¥5,500(税込)
仕様:CD&Blu-ray / デジパック / クリア三方背BOX / ブックレット(12P) ※Blu-rayのみプレイパス対応
[Limited Box 封入特典] 大判フォトカード(20枚入り) ※内1枚のみランダム(メンバーソロ全9種)
<通常盤>
価格:¥2,500(税込)
仕様:CD / ジュエルケース
封入:ブックレット(16P)

[CD] 三形態共通収録曲
01. PANDORA
02. Don’t Let Me Down
03. Jacket
04. La Vida Loca
05. My Playlist
06. Strike Up The Band
07. Dragonfly
08. New Game
09. 雨ノチ晴レ
10. Remedy For Love

[Blu-ray] Limited Box限定収録
Music Videoフルサイズ全10曲
全Music Video撮影メイキング映像
※スマホで視聴出来るプレイパスコード付き

オフィシャルサイト
『3rd Identity』特設サイト

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