サカナクション、Base Ball Bear、凛として時雨…クリエイティブな女性ベーシストの現在地

 世代が近く、同じ3ピースの女性ベーシストといえば、凛として時雨の345の存在が思い浮かぶ。前述した2人とプレイスタイルこそ異なるものの、TKとピエール中野という猛者たちとともに、強靭なアンサンブルを形成する345はやはり見逃せないプレイヤーの一人。最新シングル『Neighbormind/laser beamer』においても、抑揚の効いたプレイでためやドライヴを生み出すことで、楽曲のドラマ性に大きく貢献している。

凛として時雨『Neighbormind』 / 映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」日本語吹替版主題歌
凛として時雨 『laser beamer』 / 「舞台PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」主題歌

 また、345はツインボーカルの一人としてもバンドの世界観の形成に欠かせないが、昨年11月には、なるけしんごとのアコースティックユニット・ti-ti.uuとして、ひさびさのミニアルバム『door』をリリースし、ここではボーカル、ギター、キーボードを担当。曲によってストリングスも交えながら、ハイトーンではなく、穏やかな表情の歌声でやや内省的な世界観を構築し、バンドとは異なる魅力を見せている。

ti-ti.uu - mini album"door" digest

 草刈、関根、345の3人とも、それぞれがプレイヤーとしての充実期を迎えると同時に、一音楽家/表現者として、新たな領域に踏み出してもいる。彼女たちが今もシーンのトップランナーであり続けている理由は、自らを絶えず更新し続けているからに他ならない。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

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