日向坂46、他の坂道グループにはない魅力とは? 『THE MUSIC DAY』出演を機に解説

 ただその裏には長い道のりがあった。日向坂は、他の坂道グループとは異なり、結成からデビューまで3年もかかった異例のグループなのだ。

 そもそも、ひらがなけやきが結成されることになったのは長濱ねるがきっかけだった。欅坂46(以下、欅坂)の最終審査通過者だった長濱は、審査当日に母親に地元・長崎へ連れ戻され最終審査を欠席したものの、本人の強い意思と家族の理解によって、欅結成から3カ月後の11月に『欅って、書けない?』(テレビ東京)の追加メンバーとして登場する。しかし特例であることから、欅坂ではなく、新設された「けやき坂46」へ加入することに。そして「長濱の仲間を集めよう」とメンバー募集が始まり、オーディションで選ばれた11名と長濱の計12名でひらがなけやきの活動は始まった。つまり、他の坂道グループは明確なデビューを目指して集められたのに対し、ひらがなけやきは長濱のために作られたグループということになる。しかも、その長濱は欅坂への加入が前提にあるのだ。

 この関係が歪なのは、ライブやカップリング曲などでは欅坂とともに行動するも、あくまでもひらがなけやきは別のグループであるということだ。欅坂は選抜制を導入していないことから、ひらがなけやきのメンバーは欅坂に昇格することはない。さらにデビューの予定もない。そんなハッキリしない状態が3年近く続いたのである。

 しかし、ひらがなけやきは、その逆境にも立ち向かい、武道館公演3days(『けやき坂46日本武道館3Days公演』)を成功させ、単独アルバム(『走り出す瞬間』)やレギュラー番組も自らの力で勝ち取っていく。そんななか『ひらがな全国ツアー2017』真っ只中である9月25日、長濱の欅坂専任が発表される。しかしそれでもファンは見捨てることはなかった。翌日の札幌公演では、残された11人の熱いパフォーマンスに対して温かい拍手で迎えていた。そして、同公演はひらがなけやきの新たな旅立ちとなり、ここから二期生が加わり快進撃が始まった。

 それから約2年が経過し、デビューシングルと共に「日向坂46」への改名が発表された。その際、メンバー、ファン、関係者みんなが歓喜していたのが印象的だった。それだけ長く過酷な3年間だったのかもしれない。

 しかし、バラエティにも対応できる実力やグループの絆が強いのも長い下積みがあったからこそ。彼女たちのモットーである“ハッピーオーラ”は、自分たちを支えてくれたファンへの思いや、人前でパフォーマンスができることへの喜びそのものなのかもしれない。現在では上村ひなのという強力な三期生も加わった日向坂。彼女たちが、“令和の国民的アイドルグループ”と呼ばれる日もそう遠くはないだろう。

(文=本 手)

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