[ALEXANDROS]、自身最長ツアーで見据えた未来 『Sleepless in Japan Tour』最終公演レポ

[ALEXANDROS]、自身最長ツアーで見据えた未来

 [ALEXANDROS]史上最長のツアー『Sleepless in Japan Tour』が6月16日、さいたまスーパーアリーナでファイナルを迎えた。昨年12月から全国29公演、ライブハウスからアリーナまで、半年以上をかけてまわってきたこのツアー中、川上洋平(Vo/Gt)が急性声帯炎、磯部寛之(Ba/Cho)がライブで膝部を骨折、庄村聡泰(Dr)が筋筋膜性腰痛症を発症。やっとのことで辿り着いたファイナルだ。本ツアーは昨年11月に発売された7thアルバム『Sleepless in Brooklyn』のリリースツアーであり、ステージにはアルバム制作を行ったニューヨーク・ブルックリンの町並みを再現。中央には鮮やかなNYのグラフィティ(落書き)が描かれた花道が伸びる。

(撮影=山川哲矢)

 会場が暗転し、「アルペジオ」のコーラス部分が流れる。スクリーンに「R U READY?」の文字が現れると、SUBWAYの駅から地上に上がってくるように、メンバーがステージへ。ステージ上に復帰した庄村含めメンバー4人が揃って立つ姿は、「これぞ[ALEXANDROS]だ!」という高揚感を増幅させていた。

 アルバムと同じく「LAST MINUTE」での幕開け。1曲目から各パートが完璧なタイミングで重なりあい、長いツアーのファイナルであることを思い知る。2曲目で早くも特効が打ち上がり、「starrrrrrr」へ。軽快なベースラインに導かれるように、観客も自由にクラップし、序盤とは思えないほど飛び跳ねていた。

(撮影=ハタサトシ)

 磯部のボンゴにのせ、川上が「泣いても笑っても本日が最後です! 今日は最初から最後まで、心の底から声出してもらいます!」と観客を煽り、「I Don’t Believe In You」へ。続く「Follow Me」は、白井眞輝(Gt)のかき鳴らす赤いエレキギターが主役の一曲。歌声と地声が行ったり来たりするのも心地よい。〈tututututa!〉という言葉がクセになる「spit!」から、サイレン音と共に「Girl A」へ。磯部は椅子に座って演奏しているとは思えないほど身体を揺らす。白井はピックを客席に投げるなど、メンバーも楽しげだ。

(写真=河本悠貴)

 時計の歯車の映像に合わせ、サポートキーボードのROSÉが美しいピアノソロを奏でると、会場はピンク色の照明に包まれ妖艶なムードに。川上は髪の毛を後ろにかきあげ「Come Closer」をしっとりと歌い上げた。続く「PARTY IS OVER」で川上はセンターステージへ。「埼玉に季節外れの雪を降らせてもよろしいでしょうか!」と川上が声を掛け、客席に雪が舞い降りるような白い照明の中で披露された「SNOW SOUND」。客席からのシンガロングに川上は感動したようで、「もう1回歌ってみましょうか!」と観客にリクエスト。客席が大きな声で完璧に歌い上げる光景に、この曲、そして[ALEXANDROS]が多くの人に愛されていることが感じ取れた。

川上洋平(Vo/Gt)(写真=河本悠貴)

 川上が「最後なので喉枯らしにいきます」と宣言し始まったのは「頼まれてもいないのにゴジラの主題歌をつくった」という楽曲「Kaiju」。英語の歌詞がスクリーンに映り、10個ほどのボールがアリーナ席に投入された。曲の最後には花道の真ん中へ倒れこみ、そのままの姿勢で「MILK」の冒頭の歌詞をシャウトした。会場のボルテージは最高潮。「もっと暴れようぜ!」といった声がかかるかと思いきや、川上から放たれた言葉は意外なものだった。「ロックは暴れりゃいいってもんじゃない。自分自身でいることがロックなんだぜ!」

 MCを聞き、こみ上げる想いをぶつけるように、観客が拳を挙げて迎えたのは「Mosquito Bite」。川上と白井がグータッチをしてはにかむ場面は、同曲が主題歌になった映画『BLEACH』のワンシーンのようだ。そのままの勢いで「Kick&Spin」へ。白井はフライングVを弾きながら花道を進み、間奏では庄村が圧巻のドラムプレイを披露。あまりの盛り上がりに川上もマイクを口にくわえ、観客に拍手をしていた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる