PerfumeとBLACKPINKが『コーチェラ』出演を果たした意義 両者のパフォーマンスを振り返る

 Perfumeの『コーチェラ2019』出演はファンの間ではもちろん、現地のメディアでも大きな話題となった。『Billboard』は彼女たちを「未来的でエレガントなエレクトロポップからもう一歩踏み出した『Future Pop』をリリースした」と紹介しながら、「Perfumeは体験そのものだ」と語ってその期待感を示した(参照)。本番ではPerfumeならではの派手なスクリーンビジュアル、リアルタイムエフェクト、そして3人のダンスがパワフルな電子音と完璧にひとつになり、鮮烈な“Perfume体験”を披露した。日本の大衆には「FUSION」や「edge」などの楽曲はハードな音楽性だと思われたかもしれないが、EDM音楽に慣れている現地のオーディエンスにとっては、それこそが野外フェスのレイブパーティーにとっておきのトラックだ。『Rolling Stone』はPerfumeを「コーチェラ2019」のベストアクト16組に選出し、「日曜日の夜にとびきりのレイブパーティーで盛り上げてくれた……まるで蜂が蜜へと群がるように、好奇心旺盛な観客たちがステージに吸い込まれていく」と会場の雰囲気を描写した(参照)。

 BLACKPINKの『コーチェラ2019』出演も、発表されるや否や話題となった。チャートでの好成績やYouTubeの再生回数などからも分かるように、すでにアメリカにもBLACKPINKのファンベースは存在していたが、今回の出演は既存のファンベースを超えてアメリカの一般大衆にアピールできるチャンスだ。

BLACKPINK『KILL THIS LOVE』

『Forbes』も今回の出演に関して「BLACKPINKの出演はアメリカの一般大衆のレーダーにK-POPを映らせる最新のケースだ」と語った(参照)。本番のステージで、BLACKPINKはバンドセットでアレンジしたセットリストでさらにパワフルなパフォーマンスを披露。代表曲の「DDU-DU DDU-DU」「Kill This Love」を含めた計13曲を約1時間にわたって歌って踊り、オーディエンスを盛り上げた。その日のパフォーマンスは高い注目を集め、Twitterのワールドワイドリアルタイムトレンドランキングで「BLACKPINK×コーチェラ」というワードが1位になるほどだった。観客とメディアの両方から絶賛を浴び、『Vulture』は今回のパフォーマンスを「K-POPと音楽の未来に歴史的な瞬間だ」と評価した(参照)。

BLACKPINK - DDU DU DDU DU - Live at Coachella 2019 Friday April 19, 2019

 PerfumeとBLACKPINKの『コーチェラ2019』出演は彼女たち自身にとってもマイルストーンとなったはずだが、同時に各国の音楽シーンにも大きな影響を与えただろう。まずJ-POPシーンにとっては、欧米でマニア層を中心に消費されてきたJ-POPが一般の音楽ファンにアピールする方法のヒントが得られただろう。また、すでに日本でトップクラスの人気を誇る彼女たちがさらにグローバル市場へと挑戦したことは、J-POPシーンにとっても大きな刺激となったのではないだろうか。一方でBLACKPINKは、グローバルなK-POPファンダムだけに依存せず積極的なアプローチを取ったことで、裾野を広げる役割を果たした。K-POPがアメリカのメインストリーム入りを現実化しつつある今、BLACKPINKの『コーチェラ2019』出演はその流れを一押ししただろう。これから海外進出を目指すK-POPグループの音楽性や進出方法にも影響を与えるはずだ。PerfumeとBLACKPINKのこの一歩が両国の音楽シーンに与えた新たな刺激が、今後どのような形で現われていくのか楽しみでならない。

■soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。
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