日向坂46の名バイプレイヤー 富田鈴花が持つマルチな能力 バラエティ力の高さを軸に考える
後に日向坂デビューシングル『キュン』の特典映像「富田鈴花」では、(パリピ≒ビビり)と黒板に書く自分に対し、もう一人の自分から「バラエティ舐めんなよ! 何でもやれよ! やる前からビビってんじゃねっつーの!」とエールが贈られ、「やるよ! やってやるよ!」と返す、決意表明のような模様が映し出されていた。
『ひらがな推し』(テレビ東京)が始まってからの富田は、まさに“やってやるよ!”精神で、モノマネやトークなど積極的に参加し、MCのオードリーと絶妙な掛け合いを見せる。最近では『HINABINGO!』でもMCの小籔千豊に、得意とするニヤニヤしながらの即興モノマネを披露し、「度胸はすごい」と言わせたほど。また受けに回っても、渡邉美穂とのディスり合いで、キャラが迷走していることをツッコまれて意識が飛んだり、小坂菜緒の愛称「こさかな」を最初に言ったのは私だと主張するも、違うことが判明し撃沈したりと、最高のやられ役っぷりで番組を盛り上げている。まさにバラエティの名バイプレイヤーだ。春日が『キン肉マン』たとえでアシュラマンは富田と言っていたが、欅坂ファンからアイドルになり、今の特攻玉砕っぷりを見ているとジェロニモではないだろうか。
『ひらがな推し』で共演した佐藤満春(どきどきキャンプ)が『ON8+1』(bayfm)で、「キャラ渋滞はツッコまれる余白を作っている。ツッコミやすい余白を作れるのはもうタレントとして超一流」「テロップの採用率が高い」とプロの目線から富田の才能を分析。それに対し、ブログで「ひらがな推しが始まってから、バラエティの頑張り方?というか価値観がすごく変わりました」「全部中途半端なのも、案外長所なのかもしれないですね?果敢に食いつく精神が大切!!!」と富田なりの解釈をしている。
SHOWROOMの「スナック眞緒」(参考:けやき坂46 井口眞緒は新たな才能を発掘する天才だ 「スナック眞緒」が果たしてきた役割から考察)に出演した際に、井口眞緒の仕草や言動に富田がニヤニヤすると、「ムカつくこの女! ちょいうざキャラ!」と井口が言い出し、ディスり合いを展開。このやりとりに最高の名勝負と呼び声も高いが、番組の最後に富田が「また来たい。楽しかったー」と呟き、波紋を呼ぶ。それを聞いた井口が「ギャップ萌え」と褒めつつ、「昔サバンナの高橋さんが去り際に“楽しかった”と言うと好感度アップみたいなことを言ってた」とコメント。そして「鈴花ちゃんの本性がわからない!」とあの井口が困惑したのだ。地上波では見せない巧みな戦術を繰り広げた富田なだけに、もしかしたらネガティブキャラもすべて計算通りなのでは? と思ってしまうが、おそらくただのノリだろう。しかし、その潜在能力は計り知れない。
バラエティ能力について触れてきたが、富田は歌もうまく、スタイルも抜群。さらに楽器を弾けるという才能も忘れてはいけない。デビュー当初には、目標とするアイドル像について「パフォーマンスもできてバラエティ、マルチな能力がある方が素敵だなと思います」(引用:『MARQUEE Vol.125』)と語っていたが、今まさに理想を現実にしている富田。バラエティ能力が高いと評される日向坂の中で、きっちりと自分のポジションを全うする富田の存在は、確実に大きいと言える。
(文=本 手)