日向坂46の笑顔に隠された葛藤とは? 佐々木美玲、井口眞緒ら『キュン』特典映像から感じたこと
2019年3月27日に『キュン』で念願のシングルデビューを果たし、新たなスタートを切った日向坂46。同シングルの楽曲もさることながら、発売直前に“泣ける”と話題となっていたのが、特典映像の『けやき坂46ストーリー ~ひなたのほうへ~』だ。各メンバーが、デビューに辿り着くまでの笑顔に隠された葛藤を語る、秘蔵映像満載のドキュメンタリーとなっている。かっこいい彼女たちの姿が余すことなく映像化されており、すべてが愛おしい。デビューシングルを一層感慨深いものにさせている。
各メンバーの予告編がアップされるや、彼女たちの赤裸々な言葉と姿に涙を流す人が続出したこの特典映像。『週刊プレイボーイ』誌で連載していた「けやき坂46ストーリー」でも触れられていたような、けやき坂46(以下、ひらがなけやき)を語る上では外せない、数々の逸話や事件について、その真相が語られている。彼女たちのターニングポイントであると同時に、心を傷つけるかもしれない繊細でタブーな出来事に今、あえて向き合い、本人たちの言葉でその思いを明かした。
日向坂46 『けやき坂46ストーリー ~ひなたのほうへ~「佐々木美玲」』予告編
いくつかピックアップすると、佐々木美玲の映像では、ひらがなけやき史上最大の事件とファンの間では語り草となっている、彼女が衝撃発言したあの日の出来事が語られている。欅坂46のデビュー1周年記念ライブで、サプライズ発表される予定だった「ひらがなけやき 増員決定!」の文字が、リハ中に手違いでモニターに映り、一期生は混乱に陥った。目の前の狭い衣装部屋にメンバーみんなで立て籠り、「もうみんなで辞めよう!」と叫ぶ佐々木美玲。当時の彼女たちは、欅坂のアンダーとしての活動がほとんどなく、未来の見えない状況だったため、増員決定は戦力外通告を言い渡されたものだと思ったという。予告編で美玲は「もう私たちに力はなかったんだって思って、ショックでした、すごく」と語っている。しかし自分たちが未熟だったことに気づき、そこからみんなで努力を重ね、一つずつ壁を乗り越えてきた。その過程で佐々木美玲が、日本武道館ライブの「イマニミテイロ」や、1stアルバム『走り出す瞬間』でセンターに輝く姿は実に印象的だ。
日向坂がなぜここまで明るく、強いグループになれたのか。そしてデビューシングルと改名を発表した時に、なぜ彼女たちはあそこまで喜んだのか。日向坂は皆ヒロインではあるが、中でも佐々木美玲のシンデレラストーリーが主軸になっているのではないかと、彼女の過去を知れば知るほどそう思わされる。