けやき坂46 井口眞緒は新たな才能を発掘する天才だ 「スナック眞緒」が果たしてきた役割から考察
けやき坂46(ひらがなけやき)の最年長にして、坂道系随一の異端児である井口眞緒の妄想から生まれた夢の空間「スナック眞緒」が、次回の『ひらがな推し』(テレビ東京)で、ついに地上波オープンを果たす。すでに雑誌やラジオ番組でも紹介され、SHOWROOM(以下、SR)ではバイトの宮田愛萌と共に(2人とも本人でなく別人格)、レギュラー番組のような形で「スナック眞緒」を開店し、ひらがなけやきに新風を巻き起こしている。今や井口のライフワークになりつつある「スナック眞緒」の魅力について考察してみたい。
「スナック眞緒」という構想が誕生したのは、『ひらがな推し』での「妄想未来ヒストリー」という企画。メンバーが未来年表を語る中、井口は2024年、29歳で「スナック眞緒」をみなとみらいにオープンするという妄想を口にした。後に『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に出演した際、将来はバラエティで細く活動しながら「スナック眞緒」のママとして経営者になり、チェーン展開して、楽しく毎日遊んで生きていきたいという夢を語っている。なぜ「スナック眞緒」なのかについては、カラオケが好きなことから「私の遊び場を仕事場にしたら人生めっちゃ楽しいと思って、遊びをそのまま仕事にしたいなと思って、できるか分からないけど今は人生の実験中です」とのこと。
そんな井口の夢の空間に引き込まれ、右腕として抜群のサポート力を見せているのが宮田だ。舞台『あゆみ』で仲良くなった2人。井口は、グループで最も色気のある宮田がコンセプトにピッタリだと考え、バイトに抜擢したという。2期生で一番の年長者である宮田は、かつてSR審査で1位を獲得している。そんな宮田は安定感あるトーク力で、井口の暴走を絶妙な距離感でコントロール。また宮田がファンから送られて来るお悩み相談を事前にまとめたり、番組の進行を担当したりすることで、井口がより自由に動くことができる。妄想好き・音痴・運動音痴・方向音痴が井口との共通点だという宮田は、正直これまで2期生の中では地味な存在であった。しかし、「スナック眞緒」で働くことにより、彼女の持つポテンシャルの高さや、どういうポジションで輝くのかがファンの間に浸透し、宮田自身が“音痴”だと思っている歌も、さらに強力な歌声を持つ井口と毎回一緒に歌うことで、徐々に成長している。
SRでの「スナック眞緒」の構成は、ゲストの話、お悩み相談、そして歌のコーナーという1時間。この番組の優れている点は、単に井口本人が楽しいだけでなく、毎回招いたゲストの好感度も上げて行くところだ。経歴や年齢などを気にせず、分け隔てなく接することができる井口は、もともと相手の良さを引き出すことに定評があった。そのため、欅坂46の7thシングル『アンビバレント』の特典映像「自撮りTV」でも、恥ずかしがり屋の渡辺梨加を相手に、自然に話を引き出す有能っぷりを発揮している。渡辺梨加が作ったメロンパンを「スナック眞緒」で販売することを約束するほど打ち解けていた。
欅坂46 渡辺梨加×井口眞緒<自撮りTV>
そんな井口は「スナック眞緒」を通して、ひらがなメンバーの新たな才能を発掘し続けている。「萌え萌えキュン」と言わせたり、強制的にソロで歌わせたりと様々な無茶振りで、濱岸ひよりには「地獄」と評されていたが、個人配信ではやらないような試練を井口がメンバーに与え、そして宮田がおだてることで、メンバーの本来のキャラや新たな一面を確実に見出しているのだ。たとえば、これまでクールなイメージだった小坂菜緒から妹的な可愛い部分を引き出したり、高瀬愛奈のぶりっ子毒舌キャラを開花させたりと井口の育成能力の高さが伺える。