わーすた、4周年ライブでファンに伝えた“スーパーありがとう” 5年目へと向かうグループの強さ

わーすた、4周年ライブで“スーパーありがとう”

 打って変わって中盤セクション。「久しぶりにあの曲を5人で歌いたくて」との松田の言葉ではじまった、アコースティックバージョンの「ねぇ愛してみて」。春を感じさせるピンクの照明に彩られる中、5人は優しいをハーモニー響かせ、「Love Unmelt」では、しなやかな強さで魅せていく。先ほどまでのきらめいたアイドル像とは異なるボーカルグループとしての懐の広さを見せた。と同時に、グッと大人になった女性らしい艶やかさも感じさせる一幕でもあった。

 「わんだふるYEAR」の12カ月連続の新曲は、音楽性の振り幅を広げ、わーすたの新たな可能性を引き出した。そんな新境地の代表曲といえるのが、ちょっと斜に構えたロックナンバー「PLATONIC GIRL」だ。言葉を吐き捨てるようにシャウトする三品と、柔軟で優々とした廣川のツインボーカルが交錯していき、その2人の間を松田が華麗に舞う。ステージ両翼の坂元と小玉が手にした銃からCO2を噴射して会場を煽る。この布陣が実にわーすたらしく、なんだか頼もしくも思えた。「タピオカミルクティー」では「みんなに会いにいくよー!」とメンバー全員が客席を隅から隅まで練り歩き、“タピオカ”に見立てたボールを直接観客に届けた。

 叙情感溢れるナンバー「暮れないハート」を嫋やかに歌い上げると、今日ここに集まってきてくれた、そして応援してきてくれた“ファン=わーしっぷ”に対する感謝の意をメンバー1人1人の言葉で述べる。この日、メンバーが何度も何度も口にしていた、わーしっぷに対する「みんな」という言葉は、どこか優しさを感じる印象的な響きがした。

「私たちが伝えたかったこと、届けたかったものが届いていたらいいなと思います」

 廣川がそう口にしていたように、精一杯の彼女たちからの感謝が込められた「スーパーありがとう」で本編は締めくくられた。

 鳴り止まぬ「わーすた」コールに迎えられながら、アンコールはパステルパープルの春夏制服の新衣装で登場。「わーすたといえば、あの曲をやらないと終われないでしょ」とはじまったのは「いぬねこ。青春真っ盛り」。場内みんなで右へ左へ「わんわんわん、にゃんにゃんにゃん」のお祭り騒ぎ。そして、ラストは「ワンダフル・ワールド」。ありったけの力を振り絞るように歌っていた三品が叫ぶ。

「わーすた4周年、この今をみんなと過ごせてホントによかった! 大好きー! 愛してるーー!!」

 こうしてライブは幕を閉じた。5人からわーしっぷへの感謝と、これからの決意に満ちたライブ。それはデビューから4年、新陳代謝の激しいシーンの中、不動の5人で走り続けてきた道と、これからの道が見えたライブでもあった。

 三品の圧倒的声量を持った太い声と、廣川の情感たっぷりで安定感のある声は、耳にも心にも本当によく響く。小玉のキリリとした佇まいは勇ましく、坂元の愛嬌ある表情は観る者を安心させてくれる。普段はちょっととぼけた松田もステージではビシッとクールにキメる。5人が夢中でキラキラと輝かせてきたものが、一段と魅力的に、そして自信に溢れた誇り高きものへと輝きを増していく。そんな瞬間を見たような日だった。涙を見せなかった廣川がその強い自信と決意を表していたように思うのだ。

 可愛いさとカッコよさのコントラストはより強調され、ファンとの関係性はより深まっていく、そんなアイドルの誰もが羨むようなライブができる、それがわーすたの強さなのだ。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

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