「音楽のプロフェッショナルに聞く」第12回
姫乃たまがバーチャルねこに聞く、“VTuber活動”と音楽に対する熱意「思いついたらすぐ動画に」
「バーチャルYouTuberとお友達になってみたい一心で始めた」
ーーインターネットカルチャーもお好きですよね?
ねこ:とても好きです! 毎日様々なことが起きていて、とてもめまぐるしいなあと思っています。
ーーねこさんはちょうど一年ほど活動されたところですが、去年の5月からまた随分状況が変わっていますよね。
ねこ:もうすぐ1年、あっという間です。
ーーねこのバーチャルYouTuberも増えましたか?
ねこ:ねこだなあと思う人は積極的に見ています。ねこだなあと思って見ています。
ーーバーチャルのねこ集会! バーチャルYouTuberって、みなさんCGでスムーズに動くじゃないですか。ねこさんの口とか眉毛とか、パーツだけが動く仕様になっているのはなぜですか?
ねこ:これはねこの技術力の低さの問題が大きいです……。バーチャルYouTuberのみなさんとお話ししてみたい、お友達になってみたい一心で始めましたので、情熱が技術を上回ってしまったようです。
ーー健気で可愛い……。あのレトロフューチャーな見た目が、楽曲の雰囲気とも相まっていいなあと思います。しかしバーチャルマーケット(仮想空間上の展⽰即売会)みたいに、バーチャル空間にみなさんで集まることもあるじゃないですか。ねこさんはどうなってるんですか?
ねこ:バーチャル空間に集まる時も、平らなままで存在しています。ねこなのに。
ーーえっ、平面で……? ねこ:平面です。最初はみなさん扱いづらそうでしたが、慣れてくださったみたいです。
ーー『パラッパラッパー』みたい……!
ねこ:バーチャルマーケットの時もそうですが、VRチャットで集まって会話をするのは、人見知りのねこには少し大変です。変なことを言って怒られそうで怯えています。
ーーねこに怒る人間はいないから大丈夫ですよ。
ねこ:やさしい……。最近のねこは、バーチャルYouTuberとお友達になることを目標に活動を始めましたが、目標を達成してしまったので、これから何をしようかちょうど考えているところです。目標があるのはとても大事なことだなあと思います。
ーーねこなのにえらい。
ねこ:ねこなのに。ずっと音楽をつくっていて動画をあまり公開できていなかったので、今年はたくさん動画をたくさん公開することを目標にしたいなあと思います。
ーー新譜はいつ頃リリース予定ですか?
ねこ:2月にでました。
ーーあれっ、いまも制作中ですよね?
ねこ:もう一つのアルバムですね、そちらは4月末に出ます。リリースまであっという間ですね。(※取材は3月初旬)
ーー精力的に活動されていますけど、バーチャルYouTuberは長く続けていくことも大事なんですか?
ねこ:そうだと思います。今年に入ってから活動引退、休止しますという方も出てきて、ねこはとてもさみしいですが。
ーーあっ、現実では引退後も人生が続くけど、バーチャルYouTuberってキャラクターが放置されることになる……?
ねこ:もしくは消えてしまう。とてもさみしいなあと思います。
ーーどう受け止めたらいいか微妙ですね……。永久に放置されることも、永久に続く可能性もあるのかあ。なんかSFっぽい。
ねこ:永久に続く可能性となると、襲名制でしょうか。
ーー二代目加勢大周!
ねこ:二代目のねこ!? でもねこは将来もねこでいたいなあと、思っています。
ーー声も素敵なので、ずっとこのままバーチャルねこ活動を続けてください。今日はありがとうございました!
ねこ:ありがとうございました!! ねこ活動頑張ります。
そう言って画面が途切れると、バーチャルねこさんが目の前から消えてしまい、少し不思議な気持ちになりました。今回のインタビューを通じて、未知の世界だったVTuberの魅力を知ることができた気がしたのでした。
■姫乃たま(ひめの たま)
1993年2月12日、東京生まれ。16才よりフリーランスで始めた地下アイドル活動を経由して、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業を営んでいる。音楽ユニット・僕とジョルジュでは、作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『First Order』『僕とジョルジュ』等々、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。
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