遊助×N.O.B.Bが語る、ファンと10年かけて築き上げた確固たる居場所「改めてここからがスタート」

遊助×N.O.B.B特別対談

 今年3月11日でソロデビューから丸10年を迎える遊助。当初は本名である上地雄輔としての活動が良くも悪くも先入観となり、アーティストとして歪曲された見方をされて悔しさを味わったこともあるという。

遊助 『ひまわり ~10年分の愛のカタチ~』

 だが、真摯に音楽と向き合い、応援してくれる人への感謝の気持ちを抱きながら正直に活動を続けてきたことで、いつしか遊助は音楽シーンに確固たる居場所を築き上げることとなった。今回リリースされた初のオールタイムベスト『遊助BEST 2009-2019 ~あの・・あっとゆー間だったんですケド。~』には、人を惹きつけてやまない遊助の魅力を多彩に表現尽くした楽曲がたっぷりと収録されている。

 その輝かしい奇跡を振り返ってもらうべく、リアルサウンドでは遊助と共に濃密な時間を過ごしてきたクリエイター&ライブDJであるN.O.B.Bによる対談をセッティング。気心知れた2人の会話から、アーティスト・遊助の本質をあらためて紐解いていこうと思う。(もりひでゆき)

「何かを始めようとすると人から笑われることが多かった」(遊助)

左から遊助、N.O.B.B

遊助:なんでN.O.B.Bくんいんの?

N.O.B.B:対談だから来たんだよ!(笑)。

――(笑)。遊助さんのデビュー曲「ひまわり」を共作しからもう10年が経ちましたからね。当然、おふたりはもう勝手知ったる仲というか。

遊助:出会いで言えばもっと前ですしね。

N.O.B.B:うん。遊助が音楽を始める前からの友達だったんですよ。そういう気心知れた関係だったからこそ、僕としては遊助の曲を作りやすかったところはあって。どんな曲にしたら遊助っぽくなるかな、みたいなイメージがしやすかったんですよね。

遊助:2人の関係性は10年経ってもまったく変わってないよね?

N.O.B.B:根本的にはそうだね。そもそも遊助自身がほとんど変わってないから。相変わらずの元気キャラで、若さ溢れるライブをやってますし。ただ、10年経って遊助も40歳になり、落ち着いたところは多少あるような気もするかな。お互い夜は弱くなりましたよ。昔は打ち上げで朝まで飲んだりしてたけど、今はもうね(笑)。

遊助:うん。N.O.B.Bくんもあんまり変わってないと思いますけどね。

――遊助さんはご自身について何か変化を感じる部分もありますか?

遊助:変わったところか……まあでも、ほんとに成長したなとは思いますけどね。

N.O.B.B:でも、そりゃそうですよね。10年間やってきたわけだから、ほんとに成長はしてると思う。

遊助:考え方がすごく柔軟になったと思うんですよ。昔はわけのわからない、必要のないプライドが自分の中にあったので、「遊助はこういうスタイルなんじゃないの?」みたいな部分で意固地になってたんですよね。でも作品をリリースする度、ライブをやる度に、周りの人たちからいろんなことを教えてもらい、それをちゃんと受け取れるようになったというか。N.O.B.Bくんにしてもそうですけど、僕が知らないことを武器に活動されている方々とお仕事をするといろんな学びがあって、すごい刺激を受けます。で、その中では、生意気かもしんないけど、僕もわからないなりにいろんな意見を言わせてもらう。感覚的に動くタイプの人間だから、僕の意見に対して「こいつ何がわかってんねん!」って思われることも多々あるとは思うんですけど(笑)、でもそのことによって、音楽に関して言えば一般的な、リスナーに近い目線で作ってくることができたんじゃないかなって。だからこそ今の遊助があるんじゃないかなとは思うんです。

N.O.B.B:遊助と音楽をやっていく中で、僕の中にもそういう柔軟さは生まれたと思っていて。僕は元々クラブシーンで活動していたので、初めて一緒に作らせてもらった「ひまわり」でまず、一気に音楽性の幅を広げてもらえたんですよ。「自分はこういうキャラだ」「だからこういう曲しか作れないんだ」みたいな壁を壊すことができたというか。そこにはすごく感謝しています。あと、ライブに関しても最初は手を振ることすら恥ずかしかったけど、今ではステージ上でお芝居やコントをやらせてもらうようになりましたからね(笑)。この10年の中には、遊助の一言によって自分の中のチャンネルを広げてもらえた瞬間がたくさんあったと思う。

――遊助さんの感覚的な判断、直感が周りの人を導いていくことも多かったわけですね。

N.O.B.B:直感の鋭さはほんとにすごいと思う。「こうなることが見えてたのかな?」って思うことが何度もありましたからね。もちろん自分の中で考え抜いて答えを出すこともあるとは思うんだけど、直感で「いい」「悪い」の判断ができるのはさすがだなって。

遊助:いやでも、その直感が間違えてることもあるんですけどね(笑)。いろんな失敗をして、たくさん迷惑もかけてきた。それにもかかわらず支えてくれる人たちがいることには、ほんとにただただ感謝の気持ちしかないですね。

N.O.B.B:そうやって失敗を恐れずにぶつかってきてくれるからこそ信頼できる部分も大きいんですよ。逆に僕らのことを信頼してくれて、いろんなことを託してくれたりもしますからね。デビュー当時は友達として一緒にやっている感覚がまだ多少あったけど、今はそれ以上の絆が生まれているような気がするというか。僕は勝手にそう思ってます。遊助はどう思ってるか知りませんけど(笑)。

遊助:うん、いや、そうだと思います(笑)。なんかね、俺って基本的に何かを始めようとすると人から笑われることがすごく多かったんですよ。6歳で野球を始めるときもそうだったし、芸能界に入るって決めた時もそうだったし、羞恥心として、ソロとしてデビューするときもそうだったんですけど、絶対「できるわけねぇだろ」とか「無謀だからやめとけよ」みたいなことを言われて、笑われ続けてきたんですよね。ある種、そうやってナメられることに慣れてるから、そういう場面にぶち当たると逆に燃えてくるんですよ。「やったろーじゃん」みたいな気持ちがメラメラ燃えてくるというか。ドMなんだかドSなんだかわかんないんですけど(笑)。

N.O.B.B:あはははは。

――その不屈の精神が10年の活動の原動力になったところもあったのかもしれませんね。

遊助:そうですね。あとは、新しい場所に自分の居場所となるイスを見つけて、座り心地が良くなるように磨いていくことが昔から好きだったんです。で、自分が座り心地がいいと感じていれば、その周りの人もきっと「このイスの周りは気持ちいいな」って思ってくれる気がするんだよなっていう漠然とした感覚もあって。それが合ってるかどうかはわかんないんだけど、小さい頃からそうやって生きてきたからそうすることに対しては迷いがないんですよね。何を言われても怖くなかったりもするし。

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