Little Glee Monster、2年ぶり日本武道館で見せた“新たな武器” キャリア最高峰のステージを目撃

リトグリが手にした“新たな武器”

 芹奈は「1日目を超える今日にしたいんだけど、みんな準備いい?」と、客席に呼びかけると、もちろんガオラーはこれでもかと言わんばかりの大声援でその呼びかけに応える。かれんは「今日は朝から雨。2年前の武道館は雨だったので不安もあったけど、(結果、その後)晴れました!」と喜んでみせてから、「ライブをするたび、そのときの自分たちを超えていきたい」とこの日の意気込みを口にする。そこから、マイクスタンドを使った「青い風に吹かれて」でライブを再開させ、かれんの艶やかなダンスをフィーチャーした「Feel Me」、強弱を効かせた歌とアンサンブルで聴き手を圧倒する「NO! NO!! NO!!!」、英語詞で歌われる「Catch me if you can」「Get Down」と、序盤の初期曲とは異なる大人びた表情と歌声で会場の空気を一変させた。

 また、「明日へ」ではスクリーンに映る歌詞や映像を効果的に用いた演出で、この曲が持つパワーが最大限に引き出される。これに呼応するかのように、5人の歌もエモーショナルさを増していった。終盤のソロパートで芹奈が感極まったかのような歌声で観る者を魅了したかと思えば、続く「I BELIEVE」では再び空気が一変。前曲から続く流れは、まるで5人が闇から光を掴み取るかのような錯覚に陥るほどだった。

かれん
芹奈
manaka
MAYU
アサヒ
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かれん
芹奈
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MAYU
アサヒ
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 ジャジーなバンドセッションを経て、緩やかなノリの「ハピネス」でガオラーたちをリラックスさせると、続いては5人のみによるアカペラコーナーへ。この日のために用意されたスペシャルメニューは、「Don't Worry Be Happy」や「My Best Friend」「人生は一度きり」などをミックスしたもので、MAYUが言うようにまさに「今の私たちだからこそ歌える、リトグリの原点を詰め込んだ」内容だった。この完成度の高いアカペラメドレーに、会場内が歓喜の渦に包まれると、ライブはそのまま後半戦へと突入する。

 初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得した最新アルバム『FLAVA』を代表する新機軸ナンバー「恋を焦らず」、音数の少ないアコースティックアレンジで生まれ変わった「ギュッと」という大人になったリトグリの“今”が表現された2曲は、アカペラメドレーからの良い流れを引き継ぐことに成功。さらに、ライブのクライマックスにふさわしい「だから、ひとりじゃない」「OVER」と最近のライブ定番曲、初期からの人気曲「SAY!!!」でガオラーの盛り上がりがピークに達しようとしたところで、2018年のリトグリを象徴する1曲「世界はあなたに笑いかけている」でライブ本編は終了。ガオラーとのコール&レスポンスも完璧の一言で、ライブは最高のエンディングを迎えた。

 アンコールは、2年前の武道館公演を思い出させてくれる「はじまりのうた」から開始。続くMCではアサヒがシュールなトークで場を和ませると、続いて“撮影OKタイム”として「My Brand New Day」をパフォーマンス。メンバーもスマホを使ってステージ上で撮影し合うなどリラックスした様子で、ガオラーとともにこの瞬間を楽しんでいるようだった。

 「My Brand New Day」を歌い終えると、manakaは「昨日、客席から聞こえた『また来るね』って言葉が、すごく響いて……」と感極まりながら、来場者に向けて感謝の言葉を送る。そこから5人のソロパートから始まる「Jupiter」へ続くと、その圧倒的なボーカルパフォーマンスに会場からはため息がこぼれる。さらにラストナンバー「Everything could be your chance」で正真正銘のクライマックスを迎え、芹奈が「本当に、昨日を超える武道館だったと思います。幸せな時間をありがとうございました!」と挨拶。曲中では芹奈やアサヒが感極まり、最後の最後にはmanakaと芹奈が抱き合う場面も。こうして感動的な空気の中、2年ぶりの武道館公演は大成功のうちに終了した。

 終始全力だった2年前とはまた違い、大人になった彼女たちが得たさまざまな武器を使うことでいろんな側面が見えた今回の武道館公演。アルバム『FLAVA』発売時のインタビュー(参照:Little Glee Monsterが語る、2018年に遂げた飛躍と個々の成長「今のリトグリは何色にもなれる」)では芹奈が「5色にも何色にもなれる。それが今のリトグリの強さ」と発言していたが、まさにそのとおりの内容だったと思う。今後、彼女たちは1人ひとりが新しい色を生み出していくことになるのか、あるいはメンバー同士が歩み寄ることで色が混ざり合い、新しい色が誕生することになるのかも気になるところ。この武道館2DAYSを通過点として、リトグリはさらなる飛躍を遂げることになるはずだ。

(Photo by:キセキミチコ)

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■セットリスト
『Little Glee Monster Live in BUDOKAN 2019〜Calling Over!!!!!』
2019年2月6日(水)日本武道館

01. Opening〜Welcome to Calling Over!!!!!〜
02. 好きだ。
03. 放課後ハイファイブ
04. 青春フォトグラフ
05. 青い風に吹かれて
06. Feel Me
07. NO! NO!! NO!!!
08. Catch me if you can
09. Get Down
10. 明日へ
11. I BELIEVE
12. Band JAZZ Session
13. ハピネス
14. a cappella medley BUDOKAN ver.
・「Let's Grooooove!!!!! Monster」Opening
・Don't Worry Be Happy
・JOY
・My Best Friend
・人生は一度きり
・春夏秋冬
・SEASONS OF LOVE
15. 恋を焦らず
16. ギュッと
17. だから、ひとりじゃない
18. OVER
19. SAY!!!
20. 世界はあなたに笑いかけている
<アンコール>
21. はじまりのうた
22. My Brand New Day
23. Jupiter
24. Everything could be your chance

Little Glee Monster オフィシャルサイト

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