『ナカイの窓』は心優しきガキ大将が仕切る草野球のよう? 中居正広のMC力を振り返る

 一方、女性医師やイマドキ女子、◯◯で働く人……など芸人以外のゲストに対しては、一人ひとりのポテンシャルを確かめるように、丁寧なキャッチボールからスタート。そして、次第にキャラに応じた速度の球を投げていくのがわかる。少しディープな内容に偏ってきたと感じたときには、中居がアイドルらしからぬ女性ネタなどを披露することで、ゲストだけにその空気を背負わせない振る舞いも。もちろん、そんなときはゲストMCの芸人メンバーが、中居の意図を察してツッコミを入れるリズムの良さも、長年続けてきたこの番組だからできること。

 また以前、中居が女性芸人とあわやキス、という流れになったとき、バラエティではお約束のようになっている罰ゲーム的な嫌がり方はしなかった。「大事にしなよ〜」と女性芸人に対して、そんなふうに軽々しくキスなんてやめたほうがいい、という流れに持っていき、その場を収めたのを覚えている。中居の態度は一見するとぶっきらぼうだが、そこには相手への愛があるのを感じる。自由に楽しくプレーするゲストはのびのびとしてもらい、輪の入り方がわからないゲストには愛あるイジりをしながらも、決してヨゴレ役にしない。常にゲストが入れ替わる『ナカイの窓』では、そのスタイルが特に光って見えた。

 そんな誰もが参加して楽しいホームグラウンドが、なくなってしまうかもしれない。そう思うと、やっぱり手放したくない気持ちになる。せっかくこんなに温かい場所ができたのに、と。3月6日放送回では、これまで295回放送されてきた中での名場面を、一挙に大放出するという。最終回ならずっときてほしくない、けれど最新回は待ち遠しい。そんな複雑な気持ちで、オンエアを楽しみにしている。

(文=佐藤結衣)

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