ヒプノシスマイク「The Champion」が本格的ヒップホップ曲に 理貴の起用と三者のラップを考察

トラップ曲「The Champion」を乗りこなす三者三様のラップ

 理貴の楽曲の特徴は、USヒップホップシーン由来のトレンド、トラップを取り入れていることにある。トラップは重くて遅めなBPMのビート上に、「チチチチチチ」と連続したハイハットを高速で鳴らして曲に抑揚をつけていることが特徴のひとつだ。そのため、トラップでラップをする際は遅めなBPMとその倍速のBPMの2つのビートを乗りこなす必要があり、非常に高度なラップスキルが求められる。

 そのトラップを取り入れた「The Champion」のビートで、シンジュク・ディビジョン麻天狼の神宮寺寂雷(CV:速水奨)、伊弉冉一二三(CV:木島隆一)、観音坂独歩(CV:伊東健人)の3人がどのようなラップを披露するかがこの楽曲の聴きどころのひとつといえるが、見事にそれぞれの個性を生かした三者三様のラップを披露している。

 1stヴァースの伊弉冉一二三は、最新のフロウを取り入れたホストらしいパーティーラップで勝利を祝い、2ndヴァースの観音坂独歩は、優勝したことによるネガティブな感情を独り言のようにラップで吐露し、不安に押し潰されながらも覚悟を決める心情を上手く表現している。3rdヴァースの神宮寺寂雷は、喋りに近い低音ボイスのラップで今回の勝利の先を見据えた壮大なスケールのリリックを披露し、リーダーとしての自覚を感じさせている。

 Battle Seasonの優勝ディビジョンが決まり、新たな展開が期待される「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」。今後の展開がますます見逃せない。

■橋本洋平
1981年横浜生まれ。広告制作の傍ら、ヒップホップやR&Bを中心に執筆する音楽ライター。ファンキーなサウンドが好きで、ロックやEDMも好む。
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