乃木坂46 山下美月、先輩メンバーをも惑わす“小悪魔”キャラ 躍進の背景にある努力を辿る

 長年培ってきた山下のイメージは、ついに個性として花開き、4月からスタートするドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京系)にて、悪女的な魅力を放つビデオガール・神尾マイを演じる。現在放送中の『神酒クリニックで乾杯を』(BSテレ東)で演じている看護師・一ノ瀬真美もドジっ子という設定ではあるが、恋愛マスターっぷりを遺憾なく発揮。ドラマ『ザンビ』(日本テレビ系)では、同級生たちを見下すいじめグループのリーダーを演じており、第3話で強烈なヒールの表情を覗かせている(2月6日放送。Huluで先行公開中)。

 ここまで、山下の一般的なイメージを書いてきたが、同時に彼女は何事にも全力で取り組む努力の人でもある。グループ加入からおよそ1年が経ったタイミングでのインタビューにて山下は、「こんなに全力でやっている姿は乃木坂に合ってないのかなって」と語っている(参考:乃木坂46 久保史緒里と山下美月が考える3期生の現在地 「フレッシュさ以外の武器を持ちたい」)。2016年9月の加入からグループ全体を突き動かす勢いを見せていた3期生。しかし、彼女たちの胸中には「先輩たちのおかげ」という気持ちもあった。乃木坂46にとって登竜門と言われる舞台『プリンシパル』シリーズの『3人のプリンシパル』で、山下が掲げたのは3役制覇(パンフレットより)。その目標は見事達成され、演技においても空気を一変させる迫力ある立ち振る舞いを見せていた。特にその目力は、後の舞台『見殺し姫』や、ダブル主演を務めた乃木坂46版 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』にも繋がっていく。20thシングル『シンクロニシティ』で初選抜入りした山下は、そこからフロントポジションを張り続けている。その立ち位置は、誰かのおかげでもなく、自分で勝ち得た努力の証だ。

 アジア進出が活発化している乃木坂46。昨年12月には中国の上海メルセデス・ベンツアリーナで初の海外単独公演を、先日1月27日には台北アリーナにて台湾単独公演を開催した。両公演の座長を務めたのは齋藤飛鳥。ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(MBS/TBS系)「乃木坂46・アイドル/齋藤飛鳥編」では、海外進出における齋藤の存在がいかに重要かが示されているが、先日放送された『乃木坂46 meets Asia! ~上海ver.~』(MUSIC ON! TV)では齋藤を支える存在に山下と与田祐希がいたことが分かる。台湾公演でも与田と多くの楽曲でダブルセンターを張り、およそ2年前の『お見立て会』と同様、「ガールズルール」では山下がセンターを務めた。

 山下は、今年19歳。来年は乃木坂46恒例、乃木神社での成人式を迎えることとなる。『乃木坂46 meets Asia!』の番組の中には、与田と共に5年後の自分に手紙を書くシーンがあり、山下は「乃木坂46はどんなグループになっていますか? 7期生くらいまでいるのかな 皆が幸せでいれるグループでずっとあれたら」と記している。5年後、山下は24歳。現在の桜井や高山の代に当たる。小悪魔っぷりは健在なのか、変わらず前のめりで全力投球なのか。フロントメンバーとしてグループを牽引していることは確かだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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