星野源が『おげんさんといっしょ』で表現したこと 『紅白歌合戦』5分間のインパクトを振り返る
「テレビ的」なことから背を向けて作られた番組が実は、人間性を映すというテレビの本質に合致していたのだ。
『紅白』のステージで「白組と紅組どっちなの?」とねずみが問うと、おげんさんは言った。
「おげんさん、男でも女でもないから。これから『紅白』も性別関係なく混合チームでいけばいいの」
「おげんさん」一家は、星野源が「おげんさん」として、女装し母親役として出演している。自分が母親役をやるのなら、その夫である父親役は女性だろうと考え、起用したのが高畑充希。娘役には以前からあつい信頼関係のある藤井隆が隆子としておさげのセーラー服姿で演じている。進行を担うパペット人形のねずみの声を声優の宮野真守が担当。第1回のゲストとして登場した長男役は70歳を超えている細野晴臣。2回目のゲストが前述の通り、次男で庭師の三浦大知だ。俳優、芸人、ミュージシャン、声優とまさにバラエティな座組。
いまの家族を考えるときに、もはや両親が必ずしも男と女である必要はないし、母親が生物学上の女性であるとは限らない。その逆もしかりだ。年齢差だって関係ない。そうした自由で多様性にあふれた新しい家族像を反映しているのだろう。
2018年、星野源は「どどどどどどどどどドラえもん♪」と国民的キャラクターの名をそのまま冠した曲を歌い、NHKの「朝ドラ」という国民的なドラマ枠の主題歌で世の中に向かって「おはよう」と呼びかけ、国民の朝の挨拶を担った。そして大晦日、やはり国民的番組である『紅白』で「日本のみんな」と呼びかけ一家団欒で歌い、日本中の家庭と繋がった。それは「おげんさん」一家が“国民の家族”になった証明だった。
『紅白』ではもちろん「星野源」としても「アイデア」を歌唱。「おげんさん」パートと合わせて実質的に2曲分の尺を与えられた。それだけ星野源は大きな存在になったのだ。彼はマリンバを楽しそうに叩き、悪戯っ子のような笑顔でドラを大きく鳴らした。
“国民的”を背負って“王道”という茨の道を突き進もうとする星野源。にもかかわらず、その佇まいは、どこまでも軽やかだ。2月からは5大ドームツアーも始まる。舞台がどんなに大きくなろうとも、ただ音楽を楽しむという彼の姿勢はきっと変わらないだろう。
(文=戸部田 誠)
■リリース情報
『POP VIRUS』
発売:2018年12月19日(水)
初回限定盤A (CD+Blu-ray+特製ブックレット) ¥5,000(税抜)
初回限定盤B (CD+DVD+特製ブックレット)¥4,800(税抜)
通常盤 初回限定仕様 (CD+特製ブックレット)¥3,100(税抜)
通常盤 (CD)¥3,000(税抜)
<CD収録曲 >
1.Pop Virus
2.恋
3.Get a Feel
4.肌
5.Pair Dancer
6.Present
7.Dead Leaf
8.KIDS
9.Continues
10.サピエンス
11.アイデア
12.Family Song
13.Nothing
14.Hello Song
<初回限定盤付属映像(Blu-ray/DVD共通)>
・星野源 Live at ONKIO HAUS Studio
1. Night Troop
2. 肌
3. 桜の森
4. Snow Men
5. KIDS
6. SUN
7. 海を掬う
8. 恋
9. プリン
10. アイデア
11. Friend Ship
・創作密着ドキュメンタリー「ニセ明と、仲間たち」
星野源と友人によるコメンタリー付
初回限定盤A、B、通常盤 初回限定仕様付属特製ブックレット
ここでしか読めない5th Album『POP VIRUS』のロングインタビュー(聞き手:高橋芳朗)、
星野源によるエッセイ、全曲解説のほか、撮り下ろし写真を収録
■ライブ情報
星野源DOME TOUR 2019『POP VIRUS』
2月2日(土)京セラドーム大阪
2月3日(日)京セラドーム大阪
2月16日(土)ナゴヤドーム
2月17日(日)ナゴヤドーム
2月23日(土)札幌ドーム
2月27日(水)東京ドーム
2月28日(木)東京ドーム
3月10日(日)福岡 ヤフオク!ドーム
■関連リンク
星野源 オフィシャルサイト