DEVILOOF、L.A bate、ZON……ラウド/メタルシーンにも通ずる関西V系バンド
ミクスチャーやストリートの感性を併せ持つZON
2015年結成の4人組バンド・ZONの楽曲は、先に挙げた2バンドと比べると、覚えやすくキャッチーな歌が耳に残る。しかし、バックで演奏されているサウンドは、迫力のあるドラムとドロップチューニングの極悪なリフ。特に昨年リリースされた「GAS」は、重厚なラウドロックだ。そのサウンドは、SiMやROTTENGRAFFTY、KNOCK OUT MONKEYのリスナーにも届くであろう力強さがある。
さらに惹きつけられるのは、それらのラウド系バンドと同様に、ヒップホップなど、ストリートカルチャーをうまくミックスさせるセンスも併せ持つところだ。「check it out」や「We're」ではラップを取り入れているし、最新のアーティスト写真をよく見ると、ハーフパンツにレギンス、コンバースという装いで、衣装もまるでライブキッズのよう。ラウドシーンとV系シーンの橋渡しとなりそうなバンドだ。
DEVILOOFもL.A bateもZONも、おそらくV系シーンでなくとも、活躍できる場があるだろう。しかし彼らは、それをV系バンドとしてやることに、意味と価値を見出しているのかもしれない。 そもそもV系のサウンドは、メタルやラウドと近いところにある。メタルフェス『LOUD PARK』にDIR EN GREYやthe GazettEが出演していたり、『LUNATIC FEST.』にROTTENGRAFFTYやcoldrainが出演したことも、記憶に新しい。もともと近い感性を持っているのだから、より共鳴し合えれば、ジャンルやシーンの境目が曖昧になって、リスナー側もどんどん流動的になるだろう。そうなれば、V系だけでなく、メタルやラウドシーンも、より活気付くのかもしれない。そして、彼らがその呼び水となるのではないか。そんな期待を持たせてくれる3バンドだ。
■小川あかね
京都府在住。関西拠点の音楽レヴューサイトki-ftに参加しています。
Twitter:@akam00n