眉村ちあきのライブから感じた“シンプルな新しさ” 衝撃の渋谷クアトロ公演を振り返る
「私は目に見えるほどのスピード感で出世しています。こんなにどんどん規模が大きくなっているのに、まったくプレッシャーを感じていません! こんなぐらいでプレッシャーを感じてて、さいたまスーパーアリーナだったらどうすんだ!」というMCをした眉村ちあきだったが、ライブの最初の方のMCでは、お客がいなくて物販のCDも全然売れなかった頃の話もしていたし、やはり「ここまで来た!」という思いに満ち満ちていたらしく、後半何度か、MCしていて泣きそうになる瞬間があった。
それがまた、「うっ」って顔の各パーツが左右にニーンと伸びて表情が決壊する、という、「宮崎アニメの子供かあんた!」と言いたくなる、とてもいい崩れっぷりなのが印象的だった。
「私、家を建てるから! みんなと住む家を建てるから!」
「私が日本の天下を獲る! そして日本のみならず、世界の天下を獲っちゃいたい!」
と宣言すると同時に、クイーンの「We Are the Chamipions」が大音量でかかる。オーディエンスによるすさまじいボリュームの大合唱に包まれて、この日のライブは終了した。そういえば中盤で「エーオ!」のコール&レスポンスもやっていたし、『ボヘミアン・ラプソディ』を観て書いたという新曲「クイーン」もやっていた。あの映画のヒット以来、ライブにクイーンネタを取り入れてる人、しょっちゅう観るが、その中でもダントツだった、とも思いました。12月31日の『COUNTDOWN JAPAN 18/19』のステージで、ラストに自身の「手をたたけ」と「We Will Rock You」を生マッシュアップして聴かせたNICO Touches the Wallsに張り合うレベルでした。
あとひとつ。11曲目にやった「おじさん」という新曲。自分のもとを去っていく「おじさん」に向けてのラブソング。恋愛関係にあったのか、そういうのじゃなかったのか、「おじさん」なのか「叔父さんもしくは伯父さん」なのか、聴き手によっていろんな解釈ができる曲だったが、とにかく、生々しくて切実ですばらしかった。そうか、こういう方向の楽曲でブレイクする可能性もあるんだな、とも改めて感じさせられた一曲でした。
(写真=I.ITO、TETSUYA TSUJI、KOHARU)
■兵庫慎司
1968年生まれ。音楽などのライター。「リアルサウンド」「SPICE」「DI:GA online」「ROCKIN’ON JAPAN」「週刊SPA!」「CREA」「KAMINOGE」などに寄稿中。フラワーカンパニーズとの共著『消えぞこない メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンにたどりつく話』(リットーミュージック)が発売中。
■セットリスト
<眉村ちあき>
01 ツクツクボウシ
02 Teeth of Peace(*発売前新曲)
03 インドのりんご屋さん
04 クイーン(*発売前新曲)
05 リアル不協和音
06 これホンマに眉村さんが作ったの?
07 どっこいトゥモロー
08 ヘチマで体洗ってる(*発売前新曲)
09 MCマユムラ
10 宇宙に行った副作用
11 おじさん(*発売前新曲)
12 CRAYON
13 ビバ☆青春☆カメ☆トマト
<眉村ちあきベイビーズ>
14 ナックルセンス
15 スーパーウーマンになったんだからな!
16 I was born in Australia.
17 東京留守番電話ップ
18 荻窪選手権
19 大丈夫(*発売前新曲)
20 ピッコロ虫
21 ブラボー
<眉村ちあき>
En1 なんだっけ?
En2 本気のラブソング
<眉村ちあきベイビーズ>
En3 メソ・ポタ・ミア