ANARCHY、13,000円の新アルバムで問う“音楽の価値” サブスク時代に与えるインパクトを考察

ANARCHY、13,000円の新ALで問う“音楽の価値” 

 そして、その上でリリースされる『The KING』。現在発表されている“13 Rappers 13 Songs”を腑分けして考えれば、13,000円という“値付け”も頷けるだろう。

 まずベテラン勢として、般若とMACCHO(OZROSAURUS)という、日本語ラップの歴史を塗り替えた豪腕MC達。同じく彼らの登場前と後でラップ史は確実に塗り替わったSEEDAとAKLOがラインナップ。シーンの最前線を進行形で切り開いているメンツとしては、昨年は『SUMMER SONIC』にも登場したMIYACHIや、現在の大阪HIPHOPを代表するJin Dogg、KANDYTOWNの顔役として名を高めるIO、そしてHIPHOPシーン以外からも高い注目を集めるAwichが参加。

 そしてニューカマーでは、武道館公演を成功させたBADHOPのフロントマン:T-Pablow、ANARCHYの立ち上げたレーベル/プロダクション<1%(ONEPERCENT)>とディールを結んだWILYWNKAとLeon Fanourakis、そして神戸から世界に波を起こすYoung Cocoが参戦。この12人が、ANARCHYと1曲ごとにフィーチャリングで対峙し、アルバムを構成していく。

 またトラックメイカーもAVA1ANCHE、BACHLOGIC、Chaki Zulu、COOKIN' SOUL、 D BO¥$、DJ PMX、KM、理貴、YamieZimmerと、折り紙付きの布陣が集結し、ビート面でも確かなことがクレジットからも伺える。現状ではサブスクリプションで「Run It Up feat. MIYACHI (Prod. 理貴)」がリリースされているが、〈いくらいくらいくら?  俺の価値はいくら?〉と、このアルバムに繋がるようなテーマを込めたフックが印象的だ。

 その流れを考えれば、音楽に付けられる値札価格が下がった現状において、アルバムに13,000円という値札をつけるのは、現況に対する意識的なカウンターや、異議を唱える実力行動であり、新しい価値観や状況を生み出すためのアプローチとも言える『The KING』。

 ここには、MEGA-G『JUSWANNA IS DEAD』を始めとして、クラウドファンディングで制作費を回収し、アルバムを制作する仕組みのような、「価値があると認めるものには相応やそれ以上の金を出す」という文化の広がりも、このANARCHYの新たな動きを後押ししているかもしれないし、「エゴイスティックなまでの新しい価値観の創造」という非常にHIPHOPならではの考え方も、大きく影響しているだろう。

 クレジットだけ見ても、すでに充実が予想される『The KING』。このアルバムの価値は13,000円に相応しいのか、もしくはそれを超える充実をリスナーに与えるのか、それとも……。どの様な形であっても、期待をせずにはいられない。

(文=高木 "JET" 晋一郎)

■リリース情報
ニュー・アルバム『The KING』
3月13日(水)リリース
価格:¥13,000

初回生産限定盤 (シリアルナンバーカード封入)

<収録曲>
01 The King
02 Run It Up feat. MIYACHI
03 Kill Me feat. 般若
04 Where We From feat. T-Pablow
05 Dirty Work Remix feat. ANARCHY / AKLO
06 The Professional feat. IO
07 Shine In The Life feat. Leon Fanourakis
08 Loca feat. Awich
09 Rollin’ feat. MACCHO
10 Yes or No feat. SEEDA
11 Brand feat. Jin Dogg
12 Spend It feat. Young Coco
13 Lucky 13 feat. WILYWNKA

商品の詳細、購入は公式サイトより
ANARCHY 公式サイト

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