ユアネスが示したライブの核と真骨頂 ワンマンツアー東京公演を見て

ユアネスが示したライブの核と真骨頂

 ユアネスが1月13日、渋谷WWWでワンマンツアー『Shift Tour 2019』の東京公演を開催した。昨年11月にリリースされた1st EP『Shift』に伴う今回のツアーでユアネスは、物語性に溢れた歌詞、豊かな叙情性を帯びたメロディ、ポストロック〜マスロックなどを反映したアレンジを含め、バンドの個性と可能性をたっぷりと示してみせた。

(写真=Yoshiaki Miura)

 1stミニアルバム『Ctrl+Z』(2018年3月リリース)、1st EP『Shift』を“2作品でひとつの作品”と位置付けているユアネス。“Ctrl+Z”(元に戻す)と“(Ctrl+Z+)Shift”(元にもどしたものを再びやり直す)をつなげることでひとつのストーリーを描いているのだが、この日のライブでも彼らは、まるで演劇か映画を観ているような感覚になれる、“一大叙事詩”と呼びたくなるようなステージを繰り広げた。セットリストの中心はもちろん、2作の収録曲。楽曲の並び方によって、音源とは違った表情が感じられることが、まず印象に残った。メインソングライターの古閑翔平(Gt)は『Shift』のインタビューで「全体的なテーマだったり、伝えたいことの核だったりがはっきりしていたほうがやりやすいんです。それをもとにして、歌詞やメロディを選べるので」(引用:ユアネスが語る、バンドとして変わらず大切にしていること「真ん中にあるのは歌」)とコメントしていたが、ライブを観ると、その発言の意味がはっきりとわかる。それぞれの楽曲に刻まれた言葉やメロディがつながっていき、大きくて豊かな物語が生み出されるーーそれこそが、ユアネスのライブの核なのだ。

黒川侑司(写真=Daisuke Miyashita)
古閑翔平(写真=Daisuke Miyashita)
田中雄大(写真=Daisuke Miyashita)
小野貴寛(写真=Daisuke Miyashita)
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黒川侑司(写真=Daisuke Miyashita)
古閑翔平(写真=Daisuke Miyashita)
田中雄大(写真=Daisuke Miyashita)
小野貴寛(写真=Daisuke Miyashita)
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 その中心にあるのは言うまでもなく、黒川侑司のボーカルだ。一つひとつの言葉を丁寧に紡ぎ出しながら(仮に『Ctrl+Z』『Shift』を聴いてなかったとしても、すべての歌詞を完全に聴き取れたと思う)、楽曲に込められたストーリーと感情を映し出すような彼の歌は、ライブという場所でさらにエモーショナルの度合いを高めていた。MCのなかで黒川は「一つひとつ物語性のある楽曲作りをしているので、感情に任せてやることが多少難しいところがある」と話していたが、その言葉からは「自分たちの感情よりも、楽曲の世界観を伝えることに集中したい」という意志を感じ取ることができた。ユアネスにとっては、その場だけの一時的な盛り上がりを求めるのではなく、曲をしっかりと伝え、観客一人ひとりの心のなかに刻み込むことが大事なのだと思う。メンバーが演奏する楽曲をまっすぐに受け止め、静かに口ずさんだり、ゆっくり体を揺らしたり、サビに合わせて手を上げたり、それぞれのやり方で楽しんでいる観客の姿も心に残った。

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