アンジュルム「46億年LOVE」が首位 2018年度『ハロプロ楽曲大賞』で目立つ若手女性作家の台頭

 ハロプロを愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが『ハロプロ楽曲大賞』。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位を付けてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も『第17回ハロプロ楽曲大賞’18』と銘打って開催され、3984人が投票参加して大きな盛り上がりを見せた。(総順位などの結果は公式サイトをご覧ください)

アンジュルム『タデ食う虫もLike it! / 46億年LOVE』

 リアルサウンドでは毎回順位に関する分析記事を寄稿しているが、今回もまた2018年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。(以下の論考は、ランキングと併せてお読みください)

楽曲部門1位:アンジュルム「46億年LOVE」

アンジュルム「46億年LOVE」

 2018年度の第1位に輝いた楽曲は、アンジュルム「46億年LOVE」。かつてモーニング娘。が1999年にブレイクするきっかけとなった「LOVEマシーン」以降、こういったディスコファンク調の楽曲はハロプロでも多数リリースされており、それらはハロプログループの所属事務所であるアップフロント系列会社の所在地になぞらえて“赤羽橋ファンク”と呼ばれている。いってみればその赤羽橋ファンクのアンジュルム2018年最新版がこの「46億年LOVE」で、それがファンの支持を一番集めた形となった。

 2016年にハロプロ楽曲大賞第1位となったモーニング娘。’16「泡沫サタデーナイト!」も似たケースであり、このことについて、ハロプロの古参ファンから否定的な意見が一定数ある。つまりかつてのヒット曲と同じことをしていて新鮮味に欠けるのでそこまでいい曲と思えない、という声だ。筆者も1999~2002年頃のモーニング娘。の国民的アイドル時代の活躍をリアルタイムで経験した者なので、そういった意見もある程度はわかる。

 結局のところ、これは現在のハロプロファンがある程度入れ替わっていることの証左なのでは、という気がしている。もし古参ファンが今も大多数を占めていたら、こういったタイプの曲が1位になることはないだろう。ここ数年でハロプロの魅力に気づいた新参ファンにとっての、リアルタイムでの「LOVEマシーン」が「泡沫サタデーナイト!」であり「46億年LOVE」であって、それはむしろ非常に健全な状態ではないだろうか。

 とはいえ、「泡沫サタデーナイト!」にしろ「46億年LOVE」にしろ、ただの焼き直しでは終わっていない。前者は赤い公園の津野米咲が作詞作曲、後者は作詞が児玉雨子、作曲が林田健司(SMAP「$10」「青いイナズマ」などでおなじみ。ハロプロへは今回が初の楽曲提供)と、つんく♂以外のコンポーザーによるもの。

 そして両曲とも、編曲は鈴木俊介。ハロプロのディスコファンクというと「LOVEマシーン」「恋愛レボリューション21」などのイメージでダンス☆マン編曲を連想しがちだが、鈴木が編曲を担当した楽曲群を見ていくと、モーニング娘。「The 摩天楼ショー」、アンジュルム「大器晩成」、Juice=Juice「ロマンスの途中」、こぶしファクトリー「チョット愚直に! 猪突猛進」等々、重要曲はほとんど同氏の手によるものだ。つまり、かつての赤羽橋ファンクの遺伝子が鈴木俊介によって受け継がれているのと同時に、児玉雨子と林田健司というハロプロ新世代コンポーザーによる新たな個性が加味されているのが「46億年LOVE」ということになる。

 そして、この楽曲を体現するアンジュルムも、今は非常に良い状態といえる。メンバーの卒業/加入があるグループにとっては、新メンバーが加入することによってグループのスキル平均値が一旦リセットされてしまうのは免れない。2019年には新メンバー2人の合流がすでに予定されているアンジュルムにとって、その直前にリリースされたこのシングルでのパフォーマンスは、ひとつの高みに到達している。

楽曲部門2~3位:つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」、モーニング娘。’18「Are you Happy?」

つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」

 1位のアンジュルム「46億年LOVE」とともに、2018年の楽曲大賞候補としてファンからの前評判が高かった楽曲が、つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」だった。結果としては1位の4275pts.に対し3822pts.で2位だったが、投票数で見ると1位の1535票に対して1568票と、ポイント数では負けたが投票数は上回るという逆転現象が起こった(下位ではこういった現象はたまに起こるのだが、1位と2位でこうなったのは史上初)。

 中島卓偉の作曲による、歌謡曲テイストあふれる普遍的な曲調が幅広い人気を集めた。ひと夏の恋を切望する乙女心を描いた児玉雨子の作詞術も冴え渡っていて、〈浴衣を着なかった理由(わけ)〉など、聴き手に解釈を促すフレーズ作りに長けている。

モーニング娘。’18「Are you Happy?」

 前年は「ジェラシー ジェラシー」、前々年は「泡沫サタデーナイト!」で連続首位を記録していたモーニング娘。だが、3年連続で1位とはならなかった。2018年6月発売のシングルで、尾形春水の卒業曲という位置づけでもあったこの曲はつんく♂の作詞作曲。トライバル要素を前面に押し出す攻めた曲調でも話題を集めていた。

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