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アンジュルム「46億年LOVE」が首位 2018年度『ハロプロ楽曲大賞』で目立つ若手女性作家の台頭

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MV部門

 楽曲ではなく映像基準で投票されるMV部門。そこで1位と2位を獲得したのは、つばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」とアンジュルム「46億年LOVE」。つまり楽曲部門と1位2位が入れ替わっているものの、同じ2曲が独占したという形だ。「今夜だけ浮かれたかった」はメンバーの浴衣姿や、曲中で歌いながら急にカメラの方へ視線を向けるという構成が話題を集めた。「46億年LOVE」は楽曲の元ネタでもあるEarth, Wind & Fire(EW&F)の世界観へのオマージュとおぼしき、ディスコを基調としつつ宇宙やピラミッド、さらに富士山やトーテムポールまで登場するファニーさが楽しい(DA PUMP「U.S.A.」への返答、という解釈は穿ち過ぎだろうか)。つまり、2曲とも映像にも特徴があり、そこがファンの支持を集めたということになるだろう。

 前評判が高かったモーニング娘。’18「フラリ銀座」は3位、つばきファクトリー「I Need You ~夜空の観覧車~」は4位にランクイン。前者はムード歌謡チックな楽曲の雰囲気に合致したレトロかつオシャレな衣装&映像がクオリティ高し。後者は歌詞の内容に合わせた、遊園地でメンバーとデートしているかのようなVR没入感が凄まじい作り。K-POPからの影響を感じさせる原色で派手な映像のJuice=Juice「Vivid Midnight」は5位と、こちらも高評価を得た。

モーニング娘。’18「フラリ銀座」
つばきファクトリー「I Need You ~夜空の観覧車~」
Juice=Juice「Vivid Midnight」

推しメン部門

 楽曲大賞の参加者による一推しメンバーを集計した推しメン部門。これがそのまま実人気ランキングに重なるとはいえないが、ひとつの指標ではある。ここ数年はモーニング娘。佐藤優樹の1位が続いていたが、今回も1位を獲得。これで4年連続となる。

 推しメン部門では℃-uteの鈴木愛理と矢島舞美がベスト10の常連だったが、グループ解散に伴いそれぞれ24位、41位と大きくランクダウン。こちらも常連であるJuice=Juice宮本佳林は3位、今年2019年春の卒業がアナウンスされているアンジュルム和田彩花は5位をそれぞれ記録した。

 前年度6位だったモーニング娘。加賀楓は、今回は4位とまたもや上昇。前述の宮本と和田を除くと、上位10人中8人がモーニング娘。メンバーとなり、その強さを見せつけた。

 以上、2018年度のハロプロ楽曲大賞の結果を駆け足で振り返ってきた。結果を見て感じるのは、つんく♂以外の楽曲提供者の躍進、それも若手女性作家の台頭だ。

 楽曲部門1位のアンジュルム「46億年LOVE」と2位のつばきファクトリー「今夜だけ浮かれたかった」、どちらも作詞を担当したのは児玉雨子だ。1993年生まれの彼女は現在25歳だが、21歳の現役女子大生時代にアンジュルム「乙女の逆襲」からハロプロへの楽曲提供が始まった。以降、カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」をはじめ数々の楽曲を毎年手がけてきて、ついに今回、楽曲大賞の1位と2位を独占という結果を残したことで、ハロプロ楽曲コンポーザーの作詞面でのエース格に昇りつめたといっていいのではないだろうか。

 近年では近田春夫の38年ぶりのソロアルバム『超冗談だから』でも作詞を6曲担当するなど、アイドル界隈以外での活動も目立ってきている。

 アンジュルムの「Uraha=Lover」(10位)と「泣けないぜ…共感詐欺」(18位)それぞれの作詞作曲を担当しているのは、シンガーソングライターの山崎あおい。児玉と同じく1993年生まれの彼女は、2012年の大学1年の時にメジャーデビュー。ギタ女(ぎたじょ=ギター女子、つまり女性弾き語りシンガーソングライター)シーンの枠で語られることが多い。他アーティストへの楽曲提供も、ベイビーレイズJAPAN、むすびズム、たんこぶちん、さとり少年団など多数。

 アップフロントとの関わりは、安倍なつみの2015年のアルバム『Dreams』収録曲「嘘つき」の作詞作曲が最初で、ハロプロへの楽曲提供はアンジュルム「泣けないぜ…共感詐欺」「Uraha=Lover」(2曲とも同シングルに収録)が初となる。楽曲大賞ランキングでは50位より下だが、鈴木愛理「君の好きなひと」(アルバム『Do me a favor』収録、54位)や、ハロプロ研修生北海道 feat. 稲場愛香のシングル曲「ハンコウキ!」(65位)の作詞作曲も彼女だ。山崎の出身大学は慶應義塾大学、つまり鈴木愛理と同じ大学の先輩にあたり、交流がある。未音源化でライブ披露のみの鈴木愛理の楽曲「私の右側」「No Live, No Life」は、鈴木と山崎の共作とのこと。

 4位のJuice=Juice「禁断少女」の作詞作曲、7位のつばきファクトリー「低温火傷」作曲(作詞は児玉雨子)など上位曲を担当しているのは大橋莉子。他にはモーニング娘。’18「Y字路の途中」(33位)、つばきファクトリー「純情cm(センチメートル)」(39位)を、いずれも作詞作曲している。

 1996年生まれで現在22歳の彼女は、2012年から音楽作家の事務所会社であるSUPA LOVE(スーパーラブ)に所属し、現役女子高生コンポーザーとして楽曲提供活動を始める。アイドリング!!!「Over Drive」作詞作曲編曲(2015年シングル『Cheering You!!!』c/w)、乃木坂46「行くあてのない僕たち」作曲(2016年シングル『裸足でsummer』c/w)などを経て、ハロプロへの楽曲提供は「低温火傷」が初のケース。Juice=Juice宮本佳林のDTM打ち込みの先生をしているというエピソードもある。

 ……と、このように20代女性作家がハロプロ楽曲を手がけ、しかもそれが上位にランクイン=ファンの支持を集めているというケースが目立ってきている。ハロプロのつんく♂にしろ、AKB/坂道界隈の秋元康にしろ、年配の男性作家が書いた詞曲を10代女子が歌うのがこれまでのアイドル楽曲の一般的な形式だったわけだが、ここにきて歌う側と作る側の年代が一致、つまりシンガーソングライター的な自作自演の作法により近づいてきているのが近年のハロプロ楽曲ということになる。そこでは歌うアイドルが楽曲に感情移入しやすく、さらに受け取る同性女性リスナーにとっても共感しやすいという事態が多く起こっている、のかもしれない。もちろん、従来の男性作家主導型の楽曲でも名曲はこれまでも多数生まれているので、どちらが上かという話ではなく、そういうバリエーションが増えてきているということ。どちらの形式でも名曲は生まれ得るはずだ。

 そこで気になってくるのは、元アンジュルムで現在は作詞家として活動している福田花音の今後の動向だ。今年2019年春にはかつての同僚で盟友でもあったアンジュルム和田彩花がグループ卒業を予定している。そこで福田が作詞した曲をアンジュルムあるいは和田がソロで歌うということになれば、ひとつのドラマが生まれるわけで、この機会をみすみす逃すことはないだろうと予想するのだが、はたしてどうなるのか。

 また、2019年はスマイレージ/アンジュルムの結成10周年のメモリアルイヤーでもある。これを記念して、同グループの全楽曲のみを対象とした「スマイレージ/アンジュルム楽曲大賞」の開催が先日発表された。

 2019年のハロプロの動向に目を向けると、やはり要注目なのは新グループのBEYOOOOONDSだろう。すでにライブ披露済みの「眼鏡の男の子」「文化祭実行委員長の恋」は、未音源化のため2018年度のハロプロ楽曲大賞ではノミネート対象外だった。おそらく今年には音源化リリースされるだろうし、さらに第3の新曲「アツイ」も現在開催中の正月ハロコンから披露を始めている。

 今年末の「ハロプロ楽曲大賞’19」、そして今年春頃開催予定の「スマイレージ/アンジュルム楽曲大賞」、どちらも皆さんの投票参加を是非お待ちしております。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。
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