鳥居咲子が選ぶ、2018年韓国ヒップホップ年間ベスト10 フレッシュな面々が大活躍した一年

 JaeDalの『Period』とSamuel Seoの『UNITY』もサウンド面で他にはないオリジナリティを発揮。どちらも生楽器による臨場感を見せ、一般的なヒップホップとは距離を置いたアコースティックサウンド、ジャズ、ファンク、オルタナティブロックなどで勝負し、音楽的なクオリティの高さを追求した。キャッチーさには欠けるが芸術性は際立って高く、ひとことで言うと玄人受けする作品だ。

 Hwajiの『WASD』とBassagongの『Tang-A』はサウンドに真新しさこそないものの、トレンドに流されず自分らしいスタイルを貫く姿勢が気持ちいい。特にBessagongは音を聴けば一発で誰か分かるほど明確な個性を持っている。Hwajiはラップスキル、リリック、サウンドのすべてにおいて完成度がずば抜けて高く、総合的な評価として3位に選出した。

 コンセプトや世界観にとことんこだわったJa Mezzの1stアルバム『GOØDevil』も必聴だ。タイトルは「God(神)」と「Devil(悪魔)」そして「Good(善)」と「Evil(悪)」を組み合わせた造語で、相反するテーマを交錯させながらそれらの共存や役割について探っていく。Ja Mezzは先般SALUとのコラボ曲「Pink is the New Black」を発表して日本市場にも進出。今後の活躍に期待がかかる。

■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。
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