DJ泡沫の2018年K-POP年間ベスト10
DJ泡沫が選ぶ、2018年K-POP年間ベスト10 ジョンヒョン、iKON、BTS…韓国音楽業界振り返る
・ジョンヒョン『Poet | Artist』
・iKON『Return』
・NCT『2018Emphathy』
・PENTAGON『Positive』
・(G)I-DLE『I am』
・BTS(防弾少年団)『Love Yourself:轉Tear』
・Shaun『Take』
・BLACKPINK『Square Up』
・MONSTA X『Are You There?』
・IZ*ONE『Color*Iz』
今回はリパッケージは除外し、2018年の韓国音楽業界を振り返ることが出来そうな10枚を選出した。
昨年12月にSHINeeのメンバー、ジョンヒョンが亡くなったという出来事は、アイドルファンのみならず世界的に衝撃をもたらした。1月にリリースされた遺作『Poet|Artist』は、華やかなアイドルとしての姿と繊細なクリエイターとしての内面を同時に内包している。日本よりもさらに一般社会やファンの目にさらされる機会が多く、韓国の規範に沿った模範的態度を社会的に強く要求される韓国アイドルのストレスフルな環境やメンタルヘルスの問題は以前より一部で指摘されてはいるが、以降も彼らをとりまく環境に具体的な変化は起きていない。それでもMV収録まで終了し後はリリースされるだけだったギリギリまで仕事を全うしたアルバムの中のジョンヒョンの姿は、今も変わらず輝いている。
韓国の音楽消費はすでに音源ストリーミングが主体で一般的ヒット曲は音源チャートというのは欧米諸国と同様だが、さらに99%アイドルのアルバムのみで占められるCD音盤のチャートが存在することが韓国の音楽事情を特殊なものにしているようだ。ファンドム内でビジネスが成り立つようになった近年、ファン人気が主体の男子グループはトップグループですら「一般人にも知られるヒット曲」を生むことは困難になってきた。しかし、今年それを成し遂げたのがiKON「Love Scenario」だ。普遍的なメロディと切なくもポジティブな歌詞で上半期No.1ヒットを記録したこの曲のリスナーは幼年層にまで広がり、様々なメディアでヒット要因が解説されるなど社会的現象にまでなった。
米国ビルボード200で1位を獲得したBTS『Love Yourself:轉Tear』は特にK-POPファンドム外からは驚きを持って受け止められていたが、デビュー後からアイドルとしてやるべき全てにことを地道に積み上げてきた結果に、他国のファンと繋がり拡大したアメリカ国内ファンの後押しが大きく結実した印象だ。LYSシリーズは海外クリエイターの参加が増え、結果的に独自のクリエイションよりは「現代の一般的なK-POPの創作スタイル」に近づいているが、「ファンの熱意がチャートや賞に直接影響を与えられるようになった」と言われるSNSとストリーミングの時代に世界中のファンドムを繋げた力は大きい。
K-POPが米国でより明確に認知されつつある時期にリリースされたBLACKPINKの初EP『Square Up』とタイトル曲の「DDU−DU DDU−DU」はKPOP女子グループとしてビルボード最高位にランクインした。韓国内で過去強いswagの効いたヒップホップトラックで成功を収めた女子グループは同じYG所属の2NE1のみだったが、フェミニン寄りな「PINK」イメージから大胆に「BLACK」の方へ振り切ったことでさらにブレイクしたようだ。YouTubeの「DDU−DU DDU−DU」MV照会数はBTS「FAKE LOVE」の約2倍の速度で3.5億回を突破しており、12月現在5.4億回と2018年リリースのK-POP MVの中で最多だ。今後の世界的展開が期待される。