BTS(防弾少年団)が混沌の時代の勝者に Spotify年間ランキングが示す世界と日本のトレンドの違い

 世界最大の音楽ストリーミング・サービス、Spotifyが2018年音楽シーンを振り返るランキングを発表した(参考:Spotifyが2018年ランキングを発表 最も聴かれたアーティストはドレイク、2位はBTSに)。

 それによれば、今年世界で最も聴かれた楽曲はドレイク「God’s Plan」で、その後ランキングはXXXテンタシオン「SAD!」、ポスト・マローン「rockstar (feat. 21 Savage)」と続いた。このように上位陣はヒップホップ主体の楽曲が並んでいる。これらチャート上位のサウンドに共通してあるのがチルな質感や浮遊感漂うムード。そして、隙間の多い洗練された音選びの中に小刻みのラップやメロディアスな歌声が乗るような、トラップ以降の感覚の楽曲が席巻している。こうしたスタイルが世界的なトレンドと見てよいだろう。

 対する日本のチャートはどうか。

 1位はなんと昨年リリースのDAOKO×米津玄師「打上花火」。続く2位も2017年発表のエド・シーラン「Shape of You」で、日本で今年Spotifyを通して再生された楽曲の多くは今年発売の曲ではなかった。つまり、日本は世界と比べるとSpotifyを通して新譜を聴くというよりは、今までのヒット曲を長く聴き続ける傾向があるようだ。新作を追うというよりも「聴きたいと思っていた曲が無料で聴けるから」といった感覚で利用されているのかもしれない。日本国内で最も再生されたプレイリストの1位が「平成ポップヒストリー」なのも意味深い結果である。トップトラックの5位にチャートインしているSuperfly「愛をこめて花束を」に至っては10年前の楽曲。どうやら日本においてはSpotifyを通して新曲を聴く意識が海外と比べて薄いようだ。

 それは、未だにこうしたサブスクリプションサービスで発売日と同時に楽曲が解禁されないアーティストが多い現状が背景にあるのではないか。たとえ解禁されていたとしても、その事実を知らないまま結局CDやダウンロード購入している例も少なくないだろう。例えば、2018年の1曲として必ず挙がる米津玄師の「Lemon」もSpotifyでは聴けない。このような現状ではサービス自体の使い方やユーザーの利用動機も制限されてくるだろう(ならば「打上花火」で我慢しようとなる)。

 では、今年日本で最も話題になった曲を表すバイラル・チャートを見てみよう。SNSでシェアされた回数なども加味したこちらの指標ではDA PUMP「U.S.A.」が堂々の1位。ヒプノシスマイク楽曲が数曲チャートインしアニメコンテンツの強さも表れている。スペイン出身のミュージシャン、アルバロ・ソレール「La Cintura」が4位に入っている点は昨年からのラテン音楽ブームの余波か。

BTS『FAKE LOVE/Airplane Pt.2』(初回限定盤A)

 一方、日本におけるトップアーティスト部門では1位がBTS(防弾少年団)に輝いた。世界的にも今年ブレイクを果たした韓国のグループだ。3位にはTWICEがランクインしていることから、日本でのK-POPブームの盛り上がりが確認できる。今年ビルボード・ミュージック・アワードで2度目のトップソーシャルアーティスト賞を獲得したBTS(防弾少年団)。彼らはSNSを通したトレンドの構築に長けている。「ヒット曲はスマホから生まれている」とビルボードが分析するように(参考:billboard JAPAN)、いかにデジタル領域で存在感を示せるかが重要な昨今、彼らの支持のされ方はいち早く社会の変化に適応できた結果とも言えるだろう。

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