DJ泡沫が選ぶ、2018年K-POP年間ベスト10 ジョンヒョン、iKON、BTS…韓国音楽業界振り返る

 SMエンターテインメントの新しい試みから生まれたNCTはメンバーを固定しない流動性故にファンドムが固まりにくい弱点があったが、2018年度は18人の固定メンバーを「NCT 2018」とし、この中で様々なユニット活動を展開した。『NCT 2018 Emphathy』は現在のSMエンタの楽曲の最新の多様性も確認できる1枚。アメリカ人とカナダ人メンバーを含むユニット・NCT 127はその後アメリカでもプロモーション展開し、ビルボード200に初ランクインした。

 PENTAGON「Shine」はオノマトペのようなコーラスとブラスを生かした爽やかな楽曲に捻った歌詞でリリース後に注目されチャートを逆走、ビルボード今年の100曲にも選ばれた。アルバムタイトルの通り"Positive"な展開だったが、ブレイクしそうなタイミングでのメンバー・イドンと同事務所の先輩アーティスト、ヒョナの熱愛発表がファンの反発を受け、結果的に10人のPENTAGONでは最期のアルバムになった。

PENTAGON JAPAN ORIGINAL 3RD MINI ALBUM 'SHINE' MV

 アイドル以外で話題になったのはサマソニにも出演したThe KOXX所属でEXOやf(x)等の楽曲にも携わったDJ・Shaunの「Way Back Home」だ。夏にぴったりの心地良いムンバートンソングで、InstagramやFacebookでライブ映像が拡散されて急上昇、7月の月間チャート1位になった。しかしファンドムもTV出演もなくバイラルのみで同時期に新曲をリリースしたTWICEを抜いて1位になったことで、音源買い占め疑惑の目を向けられた。1月と4月にもLIMEZというマーケティング会社所属のアーティスト、ジャンドクチョルとniloが同様の流れで1位になったことで、やはりアイドルファンを中心に疑惑が提唱されたものの、うやむやになっており、その煽りを受けた形とも言えるだろう。

MONSTA X 몬스타엑스 'Shoot Out' MV

 今年ブレイクの兆しを見せたのが(G)I-DLEとMONSTA X、そしてIZ*ONEだろう。(G)I-DLEはリーダーのソヨンが作詞作曲やメンバーの譜割りも自ら行う等、楽曲制作に直接関わっている。「自作ドル」は男子ではもはや珍しくないが女子では貴重な存在で、デビュー曲の「LATATA」で早くも音楽番組1位を獲得し新たな女子グループ像として注目されている。MONSTA Xの「Shoot Out」は彼らならではの肉体性のある力強さとK-POPならではの耳に残るサビをイントロに置くという、クラシックと新しさの融合したパフォーマンスで一躍HOTな存在になった。過去の各タイトル曲の持つ豪快さ・繊細さそして官能性、さらに日本リリース楽曲の韓国語バージョンなどが含まれた彼らの歴史を綴ったようなアルバムにもなっている。下半期日本でも話題になった日韓合同サバイバルオーディション番組『PRODUCE 48』からデビューしたIZ*ONEのデビュー曲は、12人という大所帯ならではのダイナミックさを生かした美しいパフォーマンスが印象に残った。秋元康作詞の日本語曲も含まれたデビューアルバムは、K-POPらしさの定型ではないこのグループの多様な可能性を伺わせる新鮮さがある。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata

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