andropが明かす、アルバム『daily』でリスナーに伝えたいこと「自分たちの“日常”が届いてほしい」

androp『daily』で伝えるもの

「僕にとっての“帰る場所”はバンド」(内澤)

ーー最後の曲で、リードトラックとなった「Home」も、そういった感情の流れに従っているなと思います。作品全体としても自由な発想で作られているし、モード的にもそれができたんですかね。

内澤:10周年を迎えるという想いだったりとか、ライブハウスツアーを回っていたので、ライブに来てくれている人の顔をすぐに思い浮かべることができたのは大きかったですね。自分たちの音楽を聴いてくれる人に対して届けるもの、というか。自分たちの日常的なものが届いてほしいなというのはありました。「Home」という曲は、アルバムの曲がある程度で揃ったところで、何が一番強く伝えられるものなのかというのを考えていたときに、デビュー10周年というのがあって。ここまで続けてこられたのも、曲を聴いてくれる人や、この間のライブハウスツアーでも、チケットを買って来てくれる人がいなければ、自分たちはここまでできなかったと痛感しながらやっていたので。自分たちの曲が、聴いてくれる人にとっての帰る場所、よりどころになってほしいという想いがあったんですよね。

ーー「Home」はMVを内澤さんの故郷の青森県八戸で撮っているんですよね。

内澤:そうです。11月4日に曲ができて。5日にはバンドメンバーで撮って、6日に僕と監督とで八戸に行って撮ったんです。その6日の時に、ほぼ全部の歌詞を作っているので、全部ができたのは地元だったんです。監督が色々なシーンを撮ってる間に歌詞を作っていたのもあって。思うことはいろいろありましたね。八戸で自分の生まれた故郷の空気を吸って、今までの10年のことを考えたり。僕にとっての帰る場所はバンドなので、バンドのことを思ったりもして。色々な想いを歌詞に入れることができました。

ーー10年という時をバンドで迎えて、そこで見る故郷の景色はまた違いそうですね。

内澤:自分にとっての当たり前が、他人にとっては当たり前じゃないんだなというのを、改めて知る感覚もありましたね。八戸では、夕方になるとイカ釣り漁船が海に出ていくんです。僕にとっての海はそういうイメージだったし、当たり前の光景だったんですけど。MVの監督が、“これはなかなか見たことがない”ってカメラを回したりしていて。そういうのって、僕だけじゃなくてきっとメンバーそれぞれにもあるし、曲を聴いてくれる人それぞれにも自分だけの大切なものっていうのが多分あって。そういうことにリンクする曲が作りたいなと思っていました。

ーー歌詞にある〈僕らは混ざりあえないから きっと分かり合えるんだ〉というフレーズがものすごく刺さるなと思っていたんです。よく、人は分かり合える、みたいなことって前提になりがちですが、違うからこそわかり合えるものがあるというのは、なるほどという思いでしたね。

内澤:他人同士だったり、家族ですらも、1つにはなれないというか。だからこそ、わかり合うことができるんだろうなと思っているんですよね。分かり合えるというか、許しあえるというのかな。とくに昔なんて、僕は誰のことも信じてなかったし、1人で生きているみたいな雰囲気だったけど。よくよく考えると、1人で生きることなんて無理で。色々な人間との絡み合い、助け合いのようなもので生きているので。

ーーこの『daily』をリリースして、いよいよデビュー10周年イヤーに突入します。この10年での心境的な変化、節目と感じるようなことはありますか。

佐藤:心境はずっと変化していますよね。昔のことを思い返すと、あの時考えていたことは違ったなって思うこともたくさんありますし。今が完璧だってことではまったくなくて、毎年ここが分岐点だとか、アップデートされていく感覚があるので。この間終わったライブハウスツアーも、本当に大きなものになるなというのはあったし、すごく色々な気づきがあったいいツアーで。

内澤:今年になって、ホールツアーとライブハウスツアーという両極端なものをできたのも、バンドにとって大きかったと思います。イメージしていたバンド像のひとつでもあるので。今後もそういうのは続けていきたいなと思います。

伊藤:僕は、内澤君がよく頑張って、たくさん曲を作ったなと改めて思いますよね。これだけ歌詞をたくさん書き、曲をたくさん書き、アレンジをやり、なぜやめないんだろうなと。

ーー(笑)。

伊藤:10年間変わらず、演奏面でチャレンジさせてもらっているし、更新する思いを味わわせてもらっているバンドなので。10年もやっていると、僕が思うに、“またこんな感じのことをやっているのか”とかもあるというか。それが飽きずに、10年間できているのは、本当にありがたいなと思うし。自分自身を更新させることで、バンドを良くしたいと思えるので。

前田:10年というのは1つのお祭りじゃないですけど、きっかけみたいなところなので。今まで応援してくれた人に感謝の気持ちを伝えられるような年になればいいなと思うんです。振り返るというよりは、そういうことをしていきたいですね。

佐藤:まだこれから色々な企画が発表になっていくと思うんですけど、せっかく10周年なので、こういう機会でないとできないことを、臆せずにやってみようというところです。

(取材・文=吉羽さおり/写真=三橋優美子)

■リリース情報
androp new album『daily』
2018年12月19日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)2,600円+税 
通常盤(CDのみ)2,000円+税
<収録曲>
01. Hikari  フジテレビ系 木曜劇場「グッド・ドクター」主題歌
02. Blue Nude
03. Blanco
04. Saturday Night Apollo
05. Canvas
06. Home
<DVD収録内容>
「Home」Music Video
「Home」Making Video

各配信サイトにて全曲 先行配信中
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■関連リンク
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